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民主主義が嫌悪と恐怖に脅かされる現代を、哲学で乗り越えよ

ニューズウィーク日本版 / 2019年8月1日 20時2分

――希望を持つための「実践的習慣」についても教えてほしい。

誰もが自分なりの方法を見つけなければならない。例えば芸術は素晴らしい希望の学校だ。どんな活動であれ、たとえぞっとするような作品でも、芸術家は人間の内面を探るきっかけを与えてくれる。嫌悪だけではないやり方、より深い理解に導く方法で。

哲学もそうだ。ソクラテス派の哲学は、討論のモデルを示してくれる。哲学の教室では、誰かを大声で罵ったりしない。理性的で敬意に満ちた討論の習慣を身に付けること、それが希望を実践するということだ。

――この困難な時代に、冷笑的態度や無関心を克服する方法は?

私たちは(古代ローマの政治家・哲学者)キケロのような、自らリスクを取り、進んで関与する意思を持ち、自分を過度に守ろうとしない人々を称賛すべきだと思う。政治には困難と痛みが伴う。その世界に身を投じ、潔さと喜びを持って行動する人々は、人間ができる最も重要なものの一つを実践している。



リスクを取る政治家で哲学者だったキケロの胸像 ARALDO DE LUCAーCORBIS/GETTY IMAGES


個人的には、冷笑的な反応には全く魅力を感じない。 私と同じように、自分の人生はこれ1度きりしかないと考える人間にとって、それが無価値だとしたら何に価値を見いだすのか。世界は素晴らしいもの、美しいものにあふれている──人々、自然、動物たち。特に若い人には、この星を維持するためにできることをやってほしい。そのためには多くの努力が必要だ。

<本誌2019年2月5日号掲載>


※8月6日号(7月30日発売)は、「ハードブレグジット:衝撃に備えよ」特集。ボリス・ジョンソンとは何者か。奇行と暴言と変な髪型で有名なこの英新首相は、どれだけ危険なのか。合意なきEU離脱の不確実性とリスク。日本企業には好機になるかもしれない。



ニーナ・バーリー


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