「一帯一路」香港サミット2019は香港で挙行された
ニューズウィーク日本版 / 2019年9月13日 13時35分
次にやや遠景から見た会場入り口(写真2)を見てみよう。
写真2:やや遠景から見た会場外側の風景
人はほぼいない。
少し内部に入ると以下のような光景があった(写真3)。
写真3:会場になる建物の内部から見た入り口 写真提供:白井一成
会場に向かうための人影があるのはあるが、何ともまばらだ。参加者が如何に少ないかが窺える。
そして会議終了後(写真4)。
写真4:会議が終わって外に出てきた参加者たち 写真提供:白井一成
会場内にいた人たちがまばらに出てきた。先ほどの「写真3」と比べていただくと、同じ場所であることがわかる。要するにこの「入口」から会議場に入ったのは、「写真3」程度の人数であったし、そこに溜まっていて出てきたのも、「写真4」程度の人数であったことになる。誰の顔にも「国際会議に参加した喜びの表情」はない。高揚感は皆無で、まるで「参加してはならない集まりに、こっそり参加した」という感じだ。
それにしても、警備はどうなっていたのか。
このような雰囲気では、さぞかし警備が厳しかっただろうと思う。そこで、どのようにして部外者が撮影できたのか、白井氏に聞いた。
撮影場所は会場前車寄せとそこから少し中に入った所で、基本的には共有スペースになるという。
警備状態に関しては「他の商業施設とも繋がっているので、完全封鎖とはいかないように思った」とのこと。建物の中に進むと、会場のゲートがあり、入場制限をしていたという。警備員が周りを警戒していたが、「待ち合わせのフリをして、こっそり写真を撮った」のだと説明してくれた。
このような現場の生々しい情報を伝える写真は、世界にこの数枚しかないだろう。
このことに目を向けるジャーナリストも研究者も多くないと思うが、この日のために、9月4日に「逃亡犯条例」改正案を撤廃したのだということに注目しなければならない。それを理解しないと、香港と中共中央のつながりも見えてこないので、香港デモの真の理解ができないはずだ。
改正案撤廃に関しては、もちろん中国政府側の全人代(全国人民代表大会)常務委員会が許可を出している。この許可なしに動くことはできない。それが全人代常務委員会が定めた香港「基本法」の大原則であり、中国政治のメカニズムだ。
日本では改正案撤廃は香港行政長官の北京政府への抵抗であり、中には「クーデター」なのだという、とんでもない分析を披露する人がいたようだが、それはあまりに中国政治の内情を知らなすぎる分析であると言わざるを得ない。
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