韓国航空会社の受難......ウォン安、原油高騰に「ボイコットジャパン」が追い打ち
ニューズウィーク日本版 / 2019年9月17日 18時45分
<韓国の航空会社が、ウォン安と原油価格の高騰、そして赤字補填を目論んだ第3四半期は「ボイコットジャパン」の影響で、出口が見えないトンネルに入り込んでいる......>
韓国の航空会社が受難に見舞われている。韓国のローコスト航空会社LCCは2019年第1四半期まで右肩上がりの成長を続けてきたが、競合の激化で超低価格航空券の乱売を行うなか、ウォン安と原油価格の高騰が直撃した。赤字補填を目論んだ第3四半期は「ボイコットジャパン」の影響でドル箱である日本路線の利用者が激減し、出口が見えないトンネルに入り込んでいる。また、売却を決めたアシアナ航空も期待していた10大財閥は名乗りを上げず、難航しそうな気配である。
韓国LCC各社の低運賃化で観光出国者急増
年1000万人から1300万人で推移してきた韓国人観光出国者は2013年頃から急増し、2018年には2800万人を突破した。
2005年頃から乱立した韓国LCC各社が国際線を強化し、航空運賃の低価格化が進んだ影響が大きい。訪韓中国人の増加も相まって、業界1位の済州航空が保有機材を2016年の26機から2019年までに44機に増やすなど、LCC各社は保有機材を2014年の66機から150機まで増強した。
在韓米軍の高高度防衛ミサイル(THAAD)配備に反対する中国が訪韓旅行を制限すると、LCC各社は大挙して保有機材を日本路線に投入する。日本路線は飛行距離が短く就航も自由で収益を出しやすいのだ。2014年に7万799便だった便数は2018年には12万3000便まで43%拡大し、訪日韓国人も2018年には750万人と5年前と比べて3倍に増加。日本路線が韓国LCCの国際線の40%を占めるに至った。
赤字が拡大しても第3四半期で挽回できると見込んでいたが......
しかし、韓国LCCは、日本の主要空港はもちろん地方空港にも就航して拡大を続けたが、2019年第2四半期に赤字に転落した。円高と燃料費の高騰が重なったのだ。
地方路線を中心に赤字が目立ちちはじめると、LCCは搭乗率の増加を狙って特価イベントを繰り返す。一度、就航を始めた路線の休廃止は容易ではない。地方空港に国際線が就航すると、自治体や企業がインフラ整備や利用拡大に予算を投入する。一方的な休廃止は再就航が難しく、企業のイメージダウンも避けられない。路線によっては燃料代込み1万円以下で往復できる航空券が常態化し、エアソウルは29万9000ウォン(2万7700円)で日韓路線50日間乗り放題のキャンペーンを実施する。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
韓国は「大阪」に飽きた?…航空業界、豪州・カナダ「旅行族」つかめ
KOREA WAVE / 2024年4月20日 13時0分
-
中国が韓国人の「人気の三大海外旅行先」の一つに
Record China / 2024年4月16日 17時20分
-
ジンエアーとコミーは航空機用ミラー設置で合意
共同通信PRワイヤー / 2024年4月12日 14時30分
-
日本の小都市を訪れる韓国人旅行客が増加=韓国ネット「日本の観光資源がうらやましい」
Record China / 2024年4月9日 6時0分
-
日本のGWを狙え…韓国航空各社「日本からの旅行客」引き寄せレース
KOREA WAVE / 2024年4月6日 14時0分
ランキング
-
1「プーチンおやじ」の機嫌を取り、「張り子のクマ」ロシアと抱き合う中国の本音
ニューズウィーク日本版 / 2024年4月26日 17時4分
-
2ガザ休戦案で協議か=エジプト代表団がイスラエル入り
時事通信 / 2024年4月26日 23時11分
-
3元大物映画プロデューサーの有罪判決破棄 告発の女優ら激怒 米国
AFPBB News / 2024年4月26日 16時3分
-
4「中国が米大統領選干渉」 ブリンケン国務長官
共同通信 / 2024年4月26日 23時32分
-
5米、9460億円の支援表明 対ウクライナ、過去最大規模
共同通信 / 2024年4月27日 9時49分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください