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世界一幸福な国はSDGsでも達成度1位 フィンランド、気候変動対策へ行政の取り組みは?

ニューズウィーク日本版 / 2023年10月5日 12時0分

テストは選択式。分野は住居、移動、食事、消費の4つに渡る。カッコ内が質問内容。① 住居(住まいの広さ、暖房の方法、シャワーや入浴の回数)② 移動(車を所有している場合の使用状況、公共交通機関の使用状況)③ 食事(食志向、1週間の食品廃棄量)④ 消費(買い物習慣全般、中古の衣類や家電製品の購入状況)

このテストは自分のカーボンフットプリントをひと目で把握できるうえ、「飛行機を使わなければ、988kgCO2e(4.4%)を削減できます」など、CO2排出量削減のヒントをリストにして教えてくれる点も優れている。筆者は、飛行機使用をやめることは無理でも、リストのほかの削減項目にトライしようという気持ちになった。こうして項目を少しずつクリアしてくことが、より環境に優しい生活につながっていく。

実際に成果は出ている。人口約550万人のフィンランドで、このテストは約140万回使われ、使用者の80%が自分の削減項目を実行に移せると感じたそうだ。実際、50%が行動し、その人たちのカーボンフットプリントは、フィンランド人平均と比べて35%も下がった。

SitraはこのテストをEU諸国をはじめ世界に広げる計画だ。日本でも類似のアプリは少しずつ開発が進められているが、Sitra担当者は「ぜひ、このテストを日本の生活事情に合わせて普及させてほしい」と語っていた(無料で提供可能とのこと)。

フィンランド政府イノベーション基金(Sitra)の担当者

市の主導で地中熱発電を住居に導入 住民が100%暖房自給

フィンランドの自治体は持続可能な交通を促進したり町の清掃を徹底するなど、様々な取り組みを進めている。首都ヘルシンキでは、エネルギー問題を改革しようと市が動き出した。ヘルシンキ市のCO2排出量は、暖房(給湯を含む)が最も多いという。冬が厳しいフィンランドでは、必然的に暖房の使用量が多い。市民の暖房は「地域暖房」と呼ばれる、道路下に張り巡らされた温水パイプのシステムが支えている。

地域暖房の課題の1つは、温水のための燃料だ。現在、半分をまだ石炭が占めており(Origin of district heatのグラフ参照)、市は石炭からグリーンなエネルギー源に切り替える予定だ。

もう1つの課題は、地域暖房の消費を全体的に減らすこと。市は「一般住宅に再生可能エネルギー導入を促し、地域暖房の利用を減らしてもらおう」と考えた。そして2021年、「エネルギー・ルネッサンス」プログラムと名付け、ほぼ全員が技術者というエネルギー専門家10人のチームを結成した(10人とも市の職員)。

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