なぜ日本が協力? 「古代エジプト博士ちゃん」が聞く、大エジプト博物館の魅力
ニューズウィーク日本版 / 2023年10月11日 10時30分
河合 大エジプト博物館の敷地は東京ドーム10個分ぐらいの大きさで、一つの文明を扱う博物館としては建物の総面積も展示面積も世界最大級となります。最大の見どころは5000点を超えるツタンカーメンの遺物です。
田中環子(たなか・わこ) 中学1年生。2021年、テレビ朝日「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」に登場し、古代エジプト文明についての豊富な知識を披露。翌年同番組の企画で念願のエジプト初上陸を果たした。今回話を聞く河合望さんは、環子さんも通うカルチャースクールでもエジプト学を教えており、以前からの顔見知り。いつも古代エジプトについて教えてくれる「先生」だ
(左)クフ王のピラミッドが見える砂漠の東京ドーム約10個分という広大な敷地に建つ大エジプト博物館(右)エントランス広場でラムセス2世の巨像が迎えてくれる
松永 今まで一度も展示されていないツタンカーメンの秘宝も展示されるんですよね。期待が膨らみますね。
環子 その中でもイチオシは何ですか?
河合 推しですか? それは難しい、全部です(笑)。でも、やはりツタンカーメンの棺ですね。棺はいくつあるか知っていますか?
環子 3つです。
河合 そう、3つです。今まで3つ揃って展示されていなかったのですが、大エジプト博物館では棺も黄金のマスクも一堂に会します。それからクフ王のピラミッドの南側から見つかった2隻の「太陽の船」も展示される予定です。
環子 ツタンカーメンの遺物といえば、以前、日本の展覧会で「チャリオット」という戦車のレプリカを見ました。今回の修復作業中に屋根付きだと分かったそうですが、屋根が付いた状態で展示されるのですか。
河合 本当は屋根がついた状態で展示できるといいんですが、3000年以上も経って劣化しているので難しいんです。そこで屋根と本体を3次元レーザーでスキャニングして、バーチャルリアリティの映像で展示予定です。この新しい展示方法は、JICAの協力のおかげで実現できるんです。
河合望(かわい・のぞむ) 金沢大学古代文明・文化資源学研究所所長、教授。30年以上にわたりエジプト現地での発掘調査や保存修復プロジェクトに従事。2016年から大エジプト博物館の保存修復プロジェクトに携わる
カイロのエジプト考古学博物館から大エジプト博物館に移送される第1の太陽の船。現在修復・復原業中の第2の太陽の船と並んでの展示が予定されている
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