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なぜ日本が協力? 「古代エジプト博士ちゃん」が聞く、大エジプト博物館の魅力

ニューズウィーク日本版 / 2023年10月11日 10時30分

松永秀樹(まつなが・ひでき) 1991年に旧海外経済協力基金(現JICA)入社、以来30年以上国際協力に携わる。2012〜2015年にJICAエジプト事務所長を務め、現在はエジプトを含む中東・欧州地域の開発協力を管轄する中東・欧州部長

スフィンクス前で集合写真を撮る日本の使節団所蔵:流通経済大学 名誉教授 三宅立雄協力:流通経済大学 三宅雪嶺記念資料館

環子 20年以上も支援してきて、それが博物館の展示品として形になって見られるというのは、日本人として誇らしいですね。

河合 日本には木材を使った文化財が多く、特にその分野の修復技術に長けています。加えて修復作業に使う和紙もありますし、さまざまな日本の技術などが評価され、大変な名誉な機会をいただいたんだと思います。

環子 どうして和紙を使うんですか。

河合 例えば、バラバラの状態で発見されたパピルスは、和紙を裏打ちして修復します。私も直接関わったチャリオットや木製のベッドの修復では、剥がれている表面の金箔をさまざまな薬品を使って固定するのですが、そのときも表面に和紙を当てながら行いました。和紙は世界中の保存修復で使われている、日本の誇るべきすごい素材なんです。

松永 「すごい」といえば、大エジプト博物館のツタンカーメンの遺物の展示室の説明は、アラビア語、英語、日本語と3カ国語で表記されていると聞きました。その日本語説明文を書かれているのが、河合先生だそうですね。

河合 はい。英語の直訳では分かりづらいので、日本人に分かりやすい解説になるように工夫しています。

環子 海外の博物館で日本語で一つひとつの展示品に説明が書かれているところなんて、あまり聞かないですよね。専門用語を日本語にするのも大変なのに、すごいです。

河合 ですから、ぜひ多くの日本人の方に大エジプト博物館に来ていただいて、実際に見てほしいと思っています。

日本語も併記されている大エジプト博物館内部の案内表示

環子さんの夢と、JICAの願い

松永 環子さんは、自分で古代の方法を調べて魚のミイラをつくったとか。今日お持ちいただいていますが、研究熱心で驚きました。

環子 はい。哺乳類のミイラは難しいので、魚屋さんでイナダを買ってもらって、ミイラにしました。棺と重要な臓器を入れるカノポス壺は粘土でつくりました。臓器は人間だと肺などを入れるのですが、魚だったのでエラを入れています。

河合 すごいね。僕はミイラはつくったことがないから、抜かされちゃったな。

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