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イスラエル・ハマス軍事衝突へのアメリカの反応はかなりバラバラ

ニューズウィーク日本版 / 2023年10月11日 14時10分

その一方で、人気が急上昇しているのがニッキー・ヘイリー元国連大使です。彼女は、現在の共和党の大統領候補の中ではほぼ唯一、ブッシュや故マケインのような西側の国際協調主義を掲げたクラシックな外交タカ派です。そのヘイリーは、攻撃のニュースに対してすぐに「イスラエル支持、テロリズム反対」という強硬なメッセージを出して話題になっています。前回のテレビ討論後の評判も良く、年明けの早期に予備選のあるニューハンプシャー州では、支持率で2位に浮上してきています。

事態を受けて、株式市場は意外と平静です。奇襲攻撃が週末で、週明けの月曜の朝は多少下がりましたが、その後はダウ平均もナスダックも堅調に推移しています。バイデンがアメリカ人の殺害と人質の問題を明かした後も、市場は動揺していません。また、原油価格は、下落基調が反転して少し上がりましたが暴騰というほどではありません。市場関係の報道では、人質の奪還交渉を進める必要から、ネタニヤフ首相は「ある程度」は自制的に行動するだろうという見通しが共有されているようです。

パレスチナ擁護の動きも

一方で、社会の反応としては、全国各地でユダヤ系の中間派から右派が「イスラエル支持」のデモ、あるいは攻撃で犠牲になったイスラエル人への追悼を行っています。また、模倣テロを警戒して、全国のシナゴーグ(ユダヤ教寺院)では、地元の警察が警戒にあたっています。また、事態を受けてイスラエル軍に入隊しようとするアメリカの若者も出てきており、その様子も報道されています。

では、全国的にイスラエル支持が高まっているのかというと、必ずしもそうではなく、多くの大学ではハマスへの理解を主張する動きがあります。少なくとも、ハーバード大学、コロンビア大学では複数の学生団体が連合して、「ハマスの暴発の背景には困窮がある」「人口密集地ガザでの人道危機は回避すべき」という主張を繰り広げています。UCバークレー、バージニア大学などでも同様の動きがあります。

そんな中で、フロリダ州のゲインスビルにあるフロリダ大学では、9日月曜の晩に「イスラエルに連帯」して犠牲者を追悼する集会が行われていたのですが、途中で何か大きな音がしたところ、参加者がパニックになり、将棋倒しなどで多少の負傷者が出ました。これは全国ニュースで大きく取り上げられており、要するにイスラエル支持の側が、ハマス支持のグループとの衝突を過度に警戒していたという解説がされています。

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