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なぜ「経営理念」だけでは稼げないのか?...仕事は「中間システム」の具体化がカギだった

ニューズウィーク日本版 / 2023年11月11日 9時22分

同様に、「プレイヤー」が「経営理念」を見て仕事をすることは少ない。その存在さえ知らない「プレイヤー」もたくさんいる。

では何を見て仕事をしているかというと、その部署の「方針」「マニュアル」「制度」などである。出版社の編集部ならば「編集方針」や「編集マニュアル」などがあり、編集者(プレイヤー)は基本的にそれらに従って仕事をしている。

あるいは、部署に限らなくても、たとえば「社内人事評価制度」という制度を見ながら「ああ、今季はもう1冊本を仕上げればボーナスがもらえそうだな」などと考えながら仕事をしている。

本書では、組織内に存在する「方針」「マニュアル」「制度」などをまとめて「中間システム」と呼ぶ。「中間システム」に該当するものは、「営業方針」「ブランド戦略」「人事制度・採用方針」「編集方針」「新商品開発マニュアル」など様々なシステムである。

当たり前のことながら、現場のプレイヤーたちは、良くも悪くも、経営理念を見ながら行動することはない。現場のプレイヤーたちが見ているのは、営業部員であれば「営業方針」、編集部員であれば「編集方針」というような「中間システム」である。

とはいえ中間システムの要は「経営理念」

現場のプレイヤーたちが見ているのは、「ブランド戦略」「人事制度」といった中間システムなのだが、ではその中間システムとは、どのように作って、どのように最適化すればよいのだろうか?

実は、この答えこそが「経営理念」である。たとえば人事評価制度を作ろうとした場合、どのような人物に高評価を与え、給料を上げたり昇進させたりすればいいのかが問題となる。

営業部員は、単純にたくさんの売上を稼いだ人が偉いのだろうか?
それとも、お客様アンケートで高評価をとった人が偉いのだろうか?
新規開拓したお客様からの売上と、長年の上得意からの売上は同じ評価でよいのだろうか?
売上を稼ぎさえすれば、詐欺すれすれの営業トークは許されるのだろうか?
そうではなくて、内外に対し誠実さを持つ人を評価すべきなのだろうか?......。

営業部の人事評価制度を作るにはこれらの問いに答えなければいけないが、どれだけ探しても、絶対的な正解は見つからない。

好調な大企業のマネをしてもうまくいかない。すべての企業は業種・業態・ビジネスモデル・歴史・企業風土などがそれぞれ違うため、最適な中間システムもまたそれぞれ違うのだ。そして、中間システムを作るにあたって立ち戻るべき指針が「経営理念」である。

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