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17歳で出産、育児放棄...25歳で結婚、夫が蒸発...「後悔なんてしない」「過去は振り返らない」は間違い

ニューズウィーク日本版 / 2023年12月6日 17時45分

本書では、後悔という感情について考える。過去にあんなお粗末な選択をしたり、誤った決断をしたり、愚かな行動を取ったりしていなければ、現在もっとよい状況だったはず、未来がもっと明るかったはず――という苦しい感情に光を当てる。

後悔に関してより正確で新鮮な視点を紹介し、後悔の強力なパワーを活用して好ましい変化を起こす方法を示したい。

演じているだけの「後悔しない主義者」

「後悔なんてしない」と言う人が嘘をついているわけではない。そのような人たちは、俳優のように役を演じているのだ。あまりに頻繁に、しかもすっかりその役になり切って演じているために、その役の世界が現実だと勘違いしている。

私たちの人生では、このように自分を騙す心理的トリックが実践されることは珍しくない。ときには、それが健全な反応である場合もある。しかし、たいていは、そうやって自分を騙すと、真の満足感を得るために向き合うべき難しい課題を避けることになる。

エディット・ピアフもそうだった。ピアフは、後悔なんてしないと主張していた。高らかに宣言していたと言ってもいい。しかし、その四七年の生涯は、悲劇やトラブルの連続だった。

一七歳で出産したが、育児を放棄し、その子どもは三歳の誕生日を迎えずに死亡した。子どもの死に関して、ピアフは後悔による胸の痛みを感じなかったのだろうか。

アルコール依存やモルヒネ依存の状態だった時期もあった。みずからが才能を発揮する足を引っ張った依存症について後悔しなかったのか。

ピアフの私生活は、控え目に言っても波乱の連続だった。恋人を事故で亡くし、最初の結婚生活も破綻し、二人目の夫には莫大な借金を負わせてしまった。恋愛に関する選択の少なくとも一部を後悔することはなかったのか。

ピアフが死の床にあったとき、自分が人生でおこなった選択に満足していたとは想像しづらい。なにしろ、平均寿命より数十年も早く死を迎えることになったのは、これらの選択の多くが原因だったのだ。

「後悔なんてしない」というタトゥーを彫っている人たちはどうか。少し話を聞くと、そのような人たちが精神の内面で経験してきたことは、外に向かって表明していること(いわば演技の内容)とはかならずしも一致していないことがわかる。

アンバー・チェイスは、三五歳で私とビデオ会議で話したとき、「人生で判断を誤る状況はたびたびあります」と語った。

チェイスにとっては、最初の結婚がそうだった。二五歳のときに結婚した男性は「問題の多い人物でした」と振り返る。結婚生活は不幸せなときが多く、ときには波乱に見舞われた。

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