高校生に学術論文が書ける? 悠仁さま「トンボ論文」に向けられた「不公平」批判について考える
ニューズウィーク日本版 / 2023年12月26日 19時0分
悠仁さまのトンボ研究は、2012年から22年にかけて秋篠宮邸のある赤坂御用地内で行われました。池や樹林、防火水槽など、トンボ類が生息する場所を随時調査し、トンボを撮影したり、幼虫を採集・飼育して羽化させたりして種を同定しました。分類した結果、8科38種が確認されました。その中には、東京都区部のレッドデータブック(東京都環境局、23年)で『絶滅危惧IA類』に指定されるオツネントンボやオオイトトンボなど、貴重な品種も含まれていました。
赤坂御用地は、たとえ研究者であっても、自由に入って調査できる場所ではありません。トンボ類の調査は、02年から04年にかけて国立科学博物館動物研究部の斉藤洋一氏らによって初めて行われ、6科24種が確認されました。けれど、前回の調査から約20年の間、研究者による調査の続報はありませんでした。悠仁さまが12年から随時、赤坂御用地のトンボの生息を記録していたことを知ったトンボ研究者たちの喜びは、ひとしおだったでしょう。
12年当時、悠仁さまは6歳でした。「6歳の子供が研究データを取れるわけがない」というのも、今回の研究が本当に悠仁さまによって行われたのかと疑問視する人の主張です。しかし、①12年から16年は論文執筆に使えるデータが少なかったこと、②生態調査は市民科学のテーマとしても馴染み深いことから、特別に奇異なことではないと思われます。
①については、悠仁さまの幼少期は観察の頻度が今よりも少なかったり、例えばトンボの写真を撮ったとしても場所や日時等のデータに不足があったりしたことなどが考えられます。
②については、全面的もしくは部分的に専門家ではない一般市民によって行われる科学研究を「市民科学」と呼びます。これまでも、横浜市での渡り鳥の飛来調査や徳島県でのウミガメの調査などで地域の人たちがデータ収集で活躍し、新たな科学的知見が得られています。データの集め方、記録の仕方について専門家から助言を得ることができれば、その後、周囲の大人の協力を得ながら調査をすることは、子供でもそれほど難しいことではありません。
掲載誌「国立科学博物館研究報告A類(動物学)」とは
トンボの観察と記録はできたとしても、高校生に学術論文が書けるのか、という議論もあります。これについては「掲載誌(国立科学博物館研究報告A類(動物学))ならば十分にあり得る」と言えるでしょう。
科学学術誌には様々な種類があります。たとえば「3大学術誌」と呼ばれる「Nature」「Science」「Cell」は、研究成果には卓越した新奇性が求められ、厳しい査読が行われます。英語で執筆されるので世界中の人が読み、論文掲載がノーベル賞受賞に結びつくこともあります。
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