1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

世界初、月面「ピンポイント着陸」に成功のJAXA...着陸6日目の成果と知っておきたい「10のトリビア」

ニューズウィーク日本版 / 2024年1月26日 21時5分

一方、着陸直後の20日には「ギリギリ合格の60点」と評していた宇宙研の國中均所長は、「60点に、『LEV-1放出成功』『LEV-2放出成功』『マルチバンドカメラが正常に動作』を各1点ずつ加点して63点」と辛口評価を継続しつつ、穏やかに語りました。

10)今後の課題は?

SLIMの着陸時に異常が発生したことに関連して、國中所長は「最後が本当に惜しかった」と悔しそうに語り、「宇宙研の500Nスラスター(推進器)は良い成果が出ていない」と訴えました。

SLIMはメインエンジンに500Nスラスターを2基搭載していましたが、片方の推力が失われました。同スラスターは、これまでに火星探査機「のぞみ」、金星探査機「あかつき」にも使用されましたが、いずれもトラブルが発生しています。

國中所長は「宇宙探査に用いる場合は、燃料を入れてから点火するまで半年後とか1年後といったスパンで、宇宙での待機状態が長いことが影響している可能性がある」と語ります。日本が主導し、26年の打ち上げを目指している国際火星衛星探査プロジェクト「MMX」(Martian Moons eXploration)」でも6基の使用が予定されているため、「スラスターの信頼性を高める必要がある」と力を込めます。

MMXでは火星の衛星「フォボス」に着陸し、サンプルを地球に持ち帰る計画です。火星とその衛星の関係は、地球と月の関係のように「巨大衝突説」「捕獲説」があり、火星の起源に迫る研究が期待されています。

◇ ◇ ◇

さて、皆さんは日本初の月面着陸に何点を付けるでしょうか。

坂井教授は今回の月面着陸について、様々なトラブルを切り抜けて成功したことを強調し、「非科学的かもしれないけれど、皆さんの応援があったから成功したと思う」と語っています。日本では、2月にも大きな宇宙開発イベントが控えています。初号機の打ち上げに失敗したH3ロケットの、2号機の打ち上げです。次の機会も、私たちの応援が成功への推進力となってくれれば良いですね。

2つの記者会見を写真で比較

笑顔のなかった1月20日(SLIM着陸直後)の記者会見
左から宇宙科学研究所の藤本正樹副所長、國中均所長、JAXAの山川宏理事長 筆者撮影

25日の記者会見では打って変わって良い表情に
左から宇宙探査イノベーションハブの平野大地主任研究開発員、宇宙科学研究所の國中均所長、坂井真一郎教授、大槻真嗣准教授 筆者撮影

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください