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イスラエルのガザ攻撃に対する「イランの民兵」の報復で米軍兵士が初めて死亡:困難な舵取りを迫られる米国

ニューズウィーク日本版 / 2024年1月29日 19時0分

「イランの民兵」とは?

シリアとイラク領内への米軍基地への攻撃は、「イランの民兵」、あるいは「イランが支援する民兵」と称されるグループによって繰り返されてきた。

「イランの民兵」とは、紛争下のシリアで、シリア軍やロシア軍と共闘する民兵の蔑称である。イラン・イスラーム革命防衛隊、その精鋭部隊であるゴドス軍団、同部隊が支援するレバノンのヒズブッラー、イラクの人民動員隊に所属する諸派、アフガン人民兵組織のファーティミーユーン旅団、パキスタン人民兵組織のザイナビーユーン旅団などがこれに含まれる。シリア政府側は、シリア内戦の文脈においてこれらの組織を「同盟部隊」と呼ぶが、それらは対イスラエル抵抗闘争の文脈において「抵抗枢軸」と呼ばれる、シリア、ヒズブッラー、そしてイランを中心とする陣営の一翼を担っている。

このなかで、イスラエル・ハマース衝突以降、米軍基地を攻撃したとする声明を連日発表してきたのが、イラク・イスラーム抵抗を名乗る勢力である。この組織は、イラクの人民動員隊に所属するヒズブッラー大隊、ヌジャバー大隊といった急進派によって構成されていると見られる。
米軍基地に対する攻撃のすべてがこのイラク・イスラーム抵抗によって行われているわけではない。だが、今回の米軍基地への攻撃について関与を認める声明を出したのは、このイラク・イスラーム抵抗だった。

攻撃への関与を認めるイラク・イスラーム抵抗

イラク・イスラーム抵抗は1月28日にテレグラムを通じて3つの声明を発表した。このうち午後2時24分に発表した2番目の声明で、ガザ地区に対するイスラエルの攻撃への報復として、シリアのシャッダーディー(ハサカ県)、ルクバーン、タンフ(いずれもヒムス県)の基地、イスラエルの「ズフールーン」(クレイヨット)海上施設をドローンで攻撃したと発表した。

イラク・イスラーム抵抗の声明(テレグラム(@elamharbi)、2024年1月28日)

「ルクバーンの基地」はどこにあるのか?

このうち「ルクバーンの基地」が、米軍兵士3人が死亡した基地と思われる。だが、この基地がヨルダン領内にあるのか、シリア領内にあるのかは、定かではない。

イラク・イスラーム抵抗は、今回の攻撃を含めて3回、「ルクバーンの基地」を攻撃したと発表している。しかし、その呼び方は微妙に異なっている。

昨年10月23日の声明では「ルクバーンの米占領国基地」、12月13日の声明では「ルクバーン・キャンプの(米)占領国基地」と書かれている。これに対して、今回の声明では「ルクバーンの基地」となっている。

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