1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

英国王チャールズ3世が癌に...病状が悪化した場合にイギリスが迫られる3つの選択

ニューズウィーク日本版 / 2024年2月13日 20時44分

昨年11月、ロンドンの戦没者追悼式典に出席したチャールズ国王とウィリアム皇太子 KIN CHEUNGーPOOLーREUTERS

<「これからどうなる」チャールズ3世の病状に懸念を募らせるのは英国民だけではない。症状が悪化した場合、英連邦全体の問題に発展する可能性も>

英国王チャールズ3世が癌と診断された。憲法上の義務を果たせなくなれば、どうなるのか。

バッキンガム宮殿の発表によれば、治療中も事務的な執務は続け、週1度の首相との定例会談も続けるという。

だが症状が悪化したら? 

その場合、選択肢は3つある。国務参事官、摂政、退位だ。

まず国務参事官から見ていこう。

英国王は通常、外遊中に執務の一部または大半を国務参事官に任せる。闘病中もそれは可能だ。2人の国務参事官が合同で法律の裁可、外国の大使の接受、枢密院会議の招集といった任を果たす。

国務参事官に任命されるのは国王の伴侶と王位継承順に4人までの成人。該当者はカミラ王妃、ウィリアム皇太子、ヘンリー王子、アンドルー王子、ビアトリス王女だ。

ヘンリー王子は王室を離脱してアメリカに住んでいるし、公務を控えているアンドルー王子とその長女のビアトリス王女も適任ではない。

となるとカミラ王妃とウィリアム皇太子だけが有資格者となる。

ただし、2022年に成立した新法でアン王女とエドワード王子も国務参事官を務められることになった。

国務参事官は国王の務めの大半を担うが、議会の解散権を行使できるのは国王の指示がある場合のみ。

また爵位の授与もできない。首相の任免権を持つかどうかについては検討の余地がある。

国王と最も顕著に違うのは、国務参事官は英連邦のうち英国王を元首とするイギリス以外の14カ国に権限を及ぼせないことだ。

第2の選択肢は摂政だ。

国王が「心身の衰弱により一時的に役目を果たせない場合」には摂政が置かれる。

いつ、どの程度の期間、摂政を置くかは国王自身には決められない。

国王の伴侶、大法官、下院議長、イングランド首席判事卿、控訴院記録長官のうち3人以上の宣言で決まる。

退位は回避の公算が大

イギリスの王位継承法では、継承順位1位のウィリアム皇太子が摂政を務めることになる。

摂政は英国内では国王と同じ権限を持つが、王位継承順位を変える権限はない。

摂政法では、摂政の権限が及ぶのはイギリス国内だけ。

カナダやオーストラリア、ニュージーランドなど英国王を元首とする国々には、摂政は何の権限も持たない。

ニュージーランドは憲法にイギリスの法律で摂政となった人が自国の元首の務めを果たすという条項を入れ、この問題を解決した。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください