元CIA諜報員がウクライナ支援を解き明かす、バイデンの「不作為」と「プーチンの操り人形」トランプ
ニューズウィーク日本版 / 2024年2月22日 16時57分
あいにく結果は見通せない。
消耗戦と膠着状態は今年いっぱい続きそうだ。
しかし今、ロシアを決定的に利するような変化がアメリカの政治システムに生じている。
そう、死活的に重要な決戦の舞台はアメリカの首都ワシントン。
問われているのは、果たして議会がウクライナへの追加支援を認めるかどうか。
そしてジョー・バイデン米大統領がどんな手を打つかだ。
米政界に対して親ロシア工作を仕掛けてきたロシアのプーチン大統領 RAMILSITDIKOVーSPUTNIKーPOOLーREUTERS
アメリカの支援が止まった
2022年2月24日にロシア軍の侵攻が始まって以来、アメリカはウクライナに750億ドル(約11兆円)以上の軍事的・財政的支援を行ってきた。
ウクライナ戦における真の敵はアメリカだというプーチンの言説は嘘八百だが、彼の信念でもあるだろう。
欧米の支援が止まればこの戦争には1週間で勝てると、吐き捨てるように言ったこともある。
しかしアメリカでは、予算を決める権限は大統領ではなく議会にある。
昨年の秋、バイデン政権は600億ドル(約9兆円)の追加軍事支援を議会に提案した。
これに(今年2月に承認された)EUの追加支援500億ユーロ(約8兆円)を加えれば、あと1年か2年粘って新たな攻勢に転じることも可能だった。
だがドナルド・トランプ前米大統領が横やりを入れた。
議会共和党を牛耳るトランプ派議員に、ウクライナ支援に反対するよう求めたのだ。
かつてヒラリー・クリントンが呼んだように、まさにトランプは「プーチンの操り人形」。これでアメリカ政府のウクライナ支援は止まった。
そもそもロシアは何年も前から、アメリカの世論や政治家に影響を与えるための情報戦を繰り広げてきた。
とりわけ2016年の大統領選には力を入れた。
筆者は10年も前から繰り返し指摘してきたが、ロシアの情報機関とつながりのある複数の人物がトランプとその取り巻きに接触していた証拠は掃いて捨てるほどある。
それは1979年に始まり、2016年の大統領選まで続いていた。
ロシアの情報機関に取り込まれたとは言わぬまでも、トランプが彼らに利用されていた形跡はある。
操り人形ではなかったとしても、ロシアのために「影響力を行使する代理人」ではあった。
そしてアメリカの国益を損なうような発言をして、プーチンを喜ばせていた。
現にトランプは2019年に、バイデンに不利な情報をウクライナから引き出そうとした疑いで弾劾されている。
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