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元CIA諜報員がウクライナ支援を解き明かす、バイデンの「不作為」と「プーチンの操り人形」トランプ

ニューズウィーク日本版 / 2024年2月22日 16時57分

ロシアは24年の国防予算を前年比約1.7倍の1000億ドル相当に引き上げ、経済を軍需優先にシフトさせている。

またイランや北朝鮮から何百万発もの砲弾を購入している。

開戦当時に比べれば装備や兵員の質は劣るものの、ロシアは今年も砲撃と攻撃のレベルを維持、あるいは強化することができるだろう。

一方のアメリカとNATOは、既に武器弾薬の在庫を使い尽くした。そしてウクライナでの需要を満たすための生産能力増強に悪戦苦闘している。

アメリカは23年に砲弾の生産量を倍増させ、毎月2万8000発まで可能にした。

いずれは月産9万発に増やす計画だが、その実現には2026年までかかる。

一方でNATO加盟の欧州諸国は現状で月産2万5000発にとどまり、まだ目標の3分の1にしか達していない。

全部合わせても、今のウクライナ軍なら7日ほどで使い果たしてしまう。

だから節約せねばならず、ここ数週間は1日2000発くらいしか撃っていない。

NATO全体の軍事予算はロシアの10倍で、合算したGDPはロシアの25倍に当たるが、それでも今のウクライナに必要なだけの武器弾薬は製造できない。

ウクライナ支援を約束したバイデン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領 EYEPRESS IMAGESーREUTERS

バイデン対トランプの決戦

いずれにせよ、今年中にどちらか一方が軍事的に決定的な勝利を挙げることはなさそうだ。

「工場戦争」の決着はつかず、ウクライナもロシアも弾薬不足に悩まされ、当面はにらみ合いが続く公算が高い。

しかしバイデン政権の求めた総額600億ドルの追加軍事支援が議会で承認されていないため、今はロシア側が優位に立つ。

ウクライナ側は攻撃より守備に力を入れざるを得ず、ロシアはおそらくウクライナ東部の占領地をそのまま保持できる。

ただしアメリカの追加支援が決まり、長射程の武器弾薬が続々と供給されるようになれば話は別だ。

たいていの戦争は、戦場ではなく交渉のテーブルで終わる。

アメリカの支援再開が遅れれば、欧州では早期停戦を求める声が高まるだろう。

そうなると血に飢えたプーチンはウクライナ全域に猛攻をかけるかもしれない。

だが、それでウクライナ側がひるむとは思えない。

侵略者でファシスト国家のロシアに、あの国の人々が降伏するとは思えない。なにしろ国の存亡が懸かっている。

とはいえウクライナの運命はアメリカの首都ワシントンで決まる。

ウクライナを助けたいバイデン大統領以下の政界主流派と、ロシアに寄り添うトランプと彼を熱烈に支持する共和党の議員団。

この対決の根っこにはアメリカ伝統の孤立主義があるが、アメリカの政治と社会をぶち壊したいプーチンの執拗かつ戦略的な情報戦も効いている。

さて、勝つのはバイデンかトランプか。これはアメリカの、そして世界の未来を懸けた闘いだ。

<本誌2024年2月27日号掲載>

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