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2024年、SNSプラットフォームが選挙を通じて世界を変える

ニューズウィーク日本版 / 2024年3月15日 15時40分

マイクロソフト社のBingを通じて中国の検閲が世界に広がっている

SNSプラットフォーム以外にも問題はある。検索サービスを提供する企業が、検閲つきの検索サービスを権威主義国に提供していることだ。グーグルが中国にドラゴンフライと呼ばれる検閲つきの検索システムを提供しようとしていたことは以前に記事でご紹介した。グーグルはその後、イスラエルにも提供しようとしており、パッケージ化されたマニュアルなどから他の国にすでに提供していた可能性も示唆されている。

今のところグーグルが検閲つき検索サービスを権威主義国の政府に提供した事実は見つかっていないが、マイクロソフトが中国に同社の検索エンジンBingにサジェストキーワードの検閲機能を組み込んだものを提供していることをBloombergとCitizenLabの調査でわかっている。検閲内容は当局の指示ではなく、マイクロソフト社が当局の意向を慮って先取りしたものだった。

中国向けBingサービスは、2009年から始まっており、ビル・ゲイツは中国と緊密に協力することを提唱している。2020年に同氏がマイクロソフト社の取締役を退いた後も中国との関係は続いており、2023年6月に習近平と会談した際、習近平がビル・ゲイツを「旧友」と呼んだくらいには親密だ。こうした努力の甲斐あって、Bingは中国で百度と並ぶサービスに成長している。

マイクロソフト社は今でも万を超える中国企業と契約しており、研究開発部門特にBingについては中国人技術者が中心となっている。

マイクロソフト社と中国当局との蜜月はかつてのZOOM事件をほうふつさせ、マイクロソフト社が「アメリカの顔をした中国企業」になっている懸念を抱かせる。オンライン会議サービスで有名なZOOMは中国当局の意向に沿った検閲を行っており、問題ありと判断した会議を中断したり、利用者のIDを停止したりしていた。当時のZOOMは中国に開発拠点を持ち、社内に検閲やサービス停止を実行できる人間がいた。2020年4月にトロントのCitizenLabがその可能性を指摘し、同年12月に関係者が訴追された。

2022年5月には、中国向けのみだったはずのサジェストキーワードの検閲がアメリカやカナダなど他の国のBingに広がっていたことがCitizenLabの調査でわかった。この検閲は、WindowsのスタートアップメニューやブラウザのEdge、Bingのサジェストキーワードを利用しているDuckDuckGoにも及んでいた。

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