1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

『オッペンハイマー』は原爆投下と共産主義嫌悪というアメリカの2つのタブーを侵犯し、映画的野心に満ちている

ニューズウィーク日本版 / 2024年4月6日 14時20分

ノーランは時おり策に溺れる監督だとの印象がある。『TENET テネット』は何度も挫折して、いまだに最後まで観ていない。でも今回はノーランの策が見事に結晶化した。広島・長崎の惨状も、直接的な描写がなくてオッペンハイマーの一人称で描かれるからこそ、深く強く想起できる。つまりメタファー。映画の本質だ。

広島・長崎への原爆投下については、戦争を終わらせたと肯定するアメリカ人は少なくない。そして共産主義に対しては、今も多くのアメリカ人は嫌悪を隠さない。アメリカの戦後史における2つのタブーを、意図したかどうかはともかく結果として、ノーランは正面から侵犯した。

もう一度書く。本作は徹底して映画だ。ノーランに余計な野心はない。でもあなたは映画的野心を目撃する。

『オッペンハイマー』(日本公開中)
©Universal Pictures. All Rights Reserved.
監督/クリストファー・ノーラン
出演/キリアン・マーフィー、エミリー・ブラント、マット・デイモン

<本誌2024年4月9日号掲載>

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください