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外国人労働者がいないと経済が回らないのだが...... 今も厳しい差別、雇用許可制20年目の韓国

ニューズウィーク日本版 / 2024年5月4日 16時40分

ところが現実問題としては、外国人の「雇用許可」を申請する企業のほとんどは、そもそも韓国人が嫌がるような職種や職場がほとんどだった。また宿舎についても、労働部(日本の厚生労働省にあたる)は冷暖房の完備等の最低基準を定めているのだが、韓国メディアによれば全体の3割はその基準を満たしていないという。

転職は認められてはいるものの、雇用許可制の対象の職種だけである。もっと条件の良いところを望むがゆえに、あえて違法就労をしてしまう人もいる。

「雇用する側が許可される『雇用許可制』ではなく、労働することが許可される『労働許可制』にしてほしい。それでなければ、労働者の人権侵害は放置される」

移住労働者の組合や支援グループの人たちはそう訴えている。

韓国も日本と同じく外国人労働者なしでは経済が回らなくなっている。農業や漁業関連以外の分野でも人手不足は深刻であり、韓国政府は2024年以降随時、林業や鉱業、料理補助などにも雇用許可制の枠を広げる意向である。自国経済の都合で外国人を利用するのは、韓国や日本だけに限らない。今や国際的な労働者争奪戦の様相となっているが、待遇面なら賃金の高い欧米やオーストラリアが有利だろう。韓国ウォンは日本円に対しては高止まりだが、米ドル等に対してはウォン安が続いている。

制度的には日本よりも早く整備を進めてきたおかげで、韓国で働くことを希望する外国人はとても多い。それにもかかわらず、ビニールハウスの宿舎しか用意できないような事業主が放置されてしまう。ここに韓国独特の構造的問題がある。それはまた次回に。

抱川市での事故を報じる韓国メディア

韓国北部・京畿道のある農園で働いていたカンボジア移住労働者が寒波警報が出された日の翌朝、ビニールハウス宿舎で亡くなったまま発見された──。 SBS 뉴스 / YouTube 

ビニールハウスで暮らす介護士をめぐるサスペンス映画「ビニールハウス」

ビニールハウスに住んでいるムンジョンは息子と一緒に住むまともな家を探すために介護士の仕事をする。認知症を患っている老人ファオクの世話をしていたある日、突然の事故が起きて、彼女は取り返しのつかない選択をして...... ミモザフィルムズ / YouTube

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