単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日本経済の現実...物価対策、移民政策への考えとは?
ニューズウィーク日本版 / 2024年5月4日 20時51分
私が総理大臣となったのは2年半前だが、当時はまだ新型コロナウイルス感染症の蔓延と戦っていた。だから、まずはコロナ対策が大事だった。しかし昨年の段階で、コロナ関連の状況は正常化することができた。
同時に、私は経済の問題に取り組んできた。安全保障や外交の問題にも同様に注力してきた。また日本の抱える少子化や人口問題に対処するための子ども・子育て支援にも取り組んでいる。
ロシアによるウクライナ侵攻に端を発する世界的なエネルギー危機は日本にとっても大きな問題だ。私は、原子力も含め、あらゆる選択肢を排除することなく、日本のエネルギー政策を幅広く進めていくという大きな方針を示してきた。
首相官邸で本誌とのインタビューに臨む岸田首相(4月17日) PHOTOGRAPH BY HARUO MOTOHASHI
米連邦議会で演説する岸田首相(4月11日) CHIP SOMODEVILLA/GETTY IMAGES
これらが、総理大臣として私の進めてきた主要な政策だ。では現時点で、私にとって最大のチャレンジは何か。それは経済であり、外交と安全保障に関する問題だ。
この30 年間、日本経済はデフレに苦しんできた。賃金が上がらず、物価も上がらず、投資も増えない状況だった。だが私は、総理大臣となって以来、一貫して「新しい資本主義」を推進している。賃上げを契機とした成長と分配の好循環を生み出し、それによって消費が拡大し、企業の投資意欲や賃上げ意欲がさらに高まることを目指す政策だ。
その結果、日本経済は30年ぶりに明るい兆しを見せている。賃金の上昇や民間投資の大幅な増加が見られる。株式市場も史上最高値を更新している。
この流れをしっかりと守り、日本がデフレから完全に脱却し、経済が成長志向の新たなステージへと向かうことを期待したい。
一方で外交や安全保障に目を向ければ、私たちは極めて不確実な状況にある。そのため、首脳レベルの外交を強化することになる。そしてこの外交を支える防衛力が必要だ。たとえ不確実な時期であっても、安定を実現するための役割を日本が果たせるようにしていく。
──防衛力に関して言えば、今の日本はその強化に向けた改革を進めている。なぜ、そうした改革が今の日本に必要なのか?
まず日本の安全保障環境について言えば、周囲を見渡すと核・ミサイル開発をしている国があり、軍事力を不透明な流儀で増強している国がある。また南シナ海や東シナ海では、力による一方的な現状変更の試みが見られる。それが現実だ。
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