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「人間の密輸」に手を染める10代がアメリカで急増...SNSで犯罪組織に応募

ニューズウィーク日本版 / 2024年5月30日 14時0分

そのようなメッセージは「誤り」だと、リードは強調する。今の時代は法執行機関が自由に使えるツールがあって、本当の意味の匿名性は存在しないのだ。これは、検問では徹底的に調べたりしない、車を警察犬で調べたりしないといった犯罪組織の昔からの傲慢な思い込みでもあると、彼は言う。

しかし、広告に応募する若者にとって危険であることに変わりはない。「あなたがフェニックスに住む20歳で、お気に入りのソーシャルメディアがあり、ポップアップする広告を見て簡単に稼げそうだと思って応募するなら──それは個人の選択だ。誰も強制しているわけではない。彼らは広告に応募して、指示を受ける。彼らが誰なのか知る由もない人々を車に乗せる。そうしたことをする人々が捕まっている」

ソーシャルメディアは若者が好む場所であるため、彼らの経済的な動機も「最大の搾取の対象」になると、リードは付け加える。もっとも、経済的な動機は、密入国に関与するかどうかの大きな分かれ目ではない。あらゆる立場の人が、とても裕福な家族の人も含めて、言いくるめられて手を染めることになる。

「私たちが扱っているのはほぼ無限のバーチャルコミュニティーだ。つまり、世界中の人に関係がある話をしている。インターネットにアクセスできる人は誰でも、これらの組織に加わることを自ら選べば、搾取される可能性がある」

「まずは意識を高めることだ。自分の愛する人が何をしているか、自分の子供が何をしているか、知ろうとすることだ。あなたが大人で、このような広告に応募しようと決めたのなら、自分が組織的な犯罪に加わろうとしていることを理解してほしい。自分の車に家族を乗せるのか、それとも常習犯を乗せるのか」

政争より子供たちを守れ

国境問題について議会で証言したこともあるダネルズは、若い人々は貪欲さや未熟さといった理由で巻き込まれると語る。トゥーソンまで3時間のドライブで1000ドル以上稼げることは、10代の若者にとって魅力的だ。

ダネルズは地域や地方自治体、連邦政府の同僚と協力して、「人間の密輸」の蔓延とティーンエージャーの関与に焦点を当ててきた。彼らは学校を訪ね、そのような行為に加担することの影響と危険性に警戒するように話をしている。

「車のハンドルを握っている子供や、密輸など何らかの国際的犯罪行為に関わる子供を見るたびに、彼らの人生が変わってしまうことを目の当たりにする。もし私が、あるいは同僚がそれを食い止めることができるなら、私たちはやるべきことをしているということだ」

政治的な問題が多すぎて全体的な結果が重視されていないと、ダネルズは続ける。「こうした取り組みのカギは、連邦政府が関与しないことだ。連邦政府は自分たちが関与しているかのように話すが。バッジを着けた捜査官ではなく官僚たちのことだ。共和党だろうが民主党だろうが無所属だろうが関係ない。政党を守るのではなく、この国を守れ。それが一番大切なことなのに、選挙や政治的な所属を気にするあまり、この国では毎日、人が死んでいる」

移民関税執行局に匿名で情報を提供できる電話番号もある。リードによれば、大切な人が違法行為に関与していることに気付いた両親などから集められた情報は、既に有効に活用されている。

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