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肥満や足が遅い人のための登山隊も出現、エベレスト登山がここまで普通になった訳

ニューズウィーク日本版 / 2024年6月3日 17時39分

 

登頂の成功率が急上昇

調査会社スタティスタのデータによると、エベレスト登頂成功者の数は急増しており、過去10年間で毎年平均414人が登頂に成功している。標高約5364メートルのベースキャンプなら、年間約4万人が到達している。

成功率の急上昇にはいくつかの要因があるが、そのうちのひとつはごく単純だ。70年以上前ニュージーランドの登山家エドモンド・ヒラリーが初めてエベレストを制覇したときと比べて、昨今は登頂に必要な肉体的条件がいくらか軽減されている。登山靴や登山服、その他の道具も改良を重ねて負担を軽減するように作られている。

「エベレストはどのシーズンだろうと、人気があると思う。エベレスト登山のロジスティクスの合理化が進むにつれて、すべてがより効率的になった。率直に言って、登頂は10年前よりも挑戦しやすくなっている」と登山専門会社マウンテン・プロフェッショナルズのオーナー、ライアン・ウォーターズは本誌に語った。

それでも、エベレスト登山には危険が伴う。今シーズンは登山者8人が死亡し、3人が行方不明になっている。

一方、ネパール人登山家のプンジョ・ラマは14時間31分で登頂し、女性最速の記録を達成した。また、シェルパ族の山岳ガイド、カミ・リタは30回目の登頂に成功し、自身がもつ最多登頂記録を更新した。

「ベースキャンプに到達することは、それ自体が独立したトレッキングだ」という認識が、ソーシャルメディアを通じて広がっている、とマッケイは言う。「エベレストに登頂する必要はない。エベレストを見ることができるだけで、この上なくスリリングな体験だ」

冒険を求める人々がヒマラヤに大挙して押し寄せるなか、ネパールの最高裁判所は、過密状態を緩和するために配布される登山許可の数を制限するよう政府に求めている。登山許可証の取得費用も来年から1万1000ドルから1万5000ドルになる見込みだ。

ニュージーランドの山岳ガイド会社アドベンチャーズ・コンサルタンツのゼネラル・マネージャー、キャロライン・オグルは、注目度の高いドキュメンタリー映画が作られていることも、エベレストが脚光を浴びる原因となっている、と語った。

 

ウォーターズは、2023年もエベレスト登頂許可者数が記録的に増えた年だったと指摘。彼自身はこの春は登らなかったが、「過去10年間、ほぼ毎年」登っており、エベレスト初登頂から21年目となる来年の春も再登頂をめざす予定だという。

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