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肥満や足が遅い人のための登山隊も出現、エベレスト登山がここまで普通になった訳

ニューズウィーク日本版 / 2024年6月3日 17時39分

チベットルート再開の影響

「エベレストの登山者は年々増えている」と、アルパイン・アセンツ社でプログラム・ディレクターを務めるゴードン・ジャノーは言う。「知名度がさらにあがっている。エベレストに魅力を感じる人々は常に存在する」

ジャノーは、趣味でランニングを始めた人が、やがて5キロのレースに出たいと思うようになり、やがてはマラソン大会に出たいと思うようになる例をあげた。

「それはごく自然な成り行きだ」と、ジャノーは言う。彼が経営するアルパイン・アセンツ社は、90年代にいち早くエベレスト登山ツアーを企画した会社のひとつだ。

それ以来、地元ネパールの会社がエベレスト登頂のガイドをするようになり、登山を希望する人々の選択肢が増えた、とジャノーは言う。その前は、ヨーロッパ、アメリカ、ニュージーランドを拠点とする会社を通して登山するのが一般的だった。

混雑に拍車をかけているのは、チベット側からの登山の再開だ。新型コロナウイルスのパンデミック発生で4年間登山を禁止していた中国は今年、外国人にチベット経由での登山を許可した。

「インド亜大陸や中国など、世界各地から多くの人々がやってくるようになった。彼らが登山の訓練を受けているとは限らない」と、ジャノーは言う。「ただ登山の世界に飛び込み、手あたり次第登ることができる山に登って、多少のスキルを身に着けた程度の人々だ」

そのため、登山経験の浅い登山客を受け入れるツアー会社が増え、登頂のスピードが遅くなっている、とジャノーは言う。

マッケイは登山に先立ち、バージニア州のアパラチア山脈でハイキングし、5キロマラソンを走り、足踏み運動用のステッパーで鍛えるなど、「できる限りのトレーニング」を試みた。

「それが私の日課の大半だった」と、彼女は言う。「正直なところ、エレベスト登山のコースは予想とは違っていた。たいへんだったけれど、なんとかなった」。

おそらく最も重要なのは、リアルタイムの山の気象トラッキングシステムの登場だ。おかげで、登山者は、山を登り続けるのに適した天候がいつになるかをほぼ正確に予測できるようになった。

 

「以前は、山に登ってから好天を祈るしかなかった」と、彼は言う。「今は衛星が2、3時間先まで天気を教えてくれる。それで事態が一変した」

山頂に向かう登山者の渋滞が発生するのは、好天を予測できるシステムのせいだ。ソーシャルメディア上では「ラッシュアワー」状態の登山者たちを映した数々の画像や動画が注目を集めている。

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