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イスラエル・ガザ侵攻に次なる展開、ヒズボラとレバノン国境地帯で「全面戦争」が開始か?

ニューズウィーク日本版 / 2024年6月26日 14時28分

ヒズボラは高度な兵器を保有しているという。その多くはイランとロシアから供給されたものだ。ロケット弾100万発以上、対戦車兵器、自爆ドローン、各種のミサイルもある。

もちろん軍事力ではイスラエルが圧倒的に有利だが、政治的、戦略的、宗教的な制約に縛られている。ヒズボラの脅威にどう対処すべきなのか、国民も政治家も意見がまとまっていない。

イスラエルではベニー・ガンツ前国防相が連立政権から離脱し、挙国一致の戦時内閣が崩壊した。首相のベンヤミン・ネタニヤフは難しい綱渡りを強いられており、即刻辞任して総選挙をという圧力も高まっている。

──イスラエルには2つの前線、ヨルダン川西岸を含めると3つの前線で同時に戦争を行う余裕があるのか

2方面で同時に戦争をやる能力がイスラエルにあるかどうかは大いに疑問だ。ヨルダン川西岸での暴力の増大は、イスラエルの治安部隊にとって頭の痛い問題だ。

昨年10月のハマスによる越境攻撃を防げなかったことでも、彼らは非難を浴びている。一方で軍隊の立場も苦しい。ガザ地区での戦争で4万人近い住民を殺し、それでもハマスを壊滅できずにいるからだ。

ヨルダン川西岸には約300万のパレスチナ人が住んでおり、パレスチナ自治政府がある程度の支配権を行使しているが、安全保障に関するあらゆる事柄の最終決定権はイスラエルにある。

しかもそこには70万弱のイスラエル人入植者がいて、日常的にパレスチナ人に対する暴力を振るっている。国際法上、彼らは違法な存在と見なされるのだが、彼らを守っているのはイスラエルの軍隊だ。

入植地とパレスチナ人の集落を分離し、一帯の治安を維持し、イスラエル領に通じる交通路の安全を確保するために軍隊が駐留している。

あそこの情勢に変化が生じれば、イスラエル軍にとってもパレスチナ自治政府にとっても深刻な問題となる。イスラエルの内政上の混乱も一段と悪化するだろう。

──イスラエルがヒズボラに対して大規模な攻撃を開始した場合、国際的な支援はどの程度期待できるか

ネタニヤフは長年、イランを国家の存亡に関わる脅威と位置付けることでアメリカ政府の支持を取り付けてきた。だが、当初は揺るぎない支持を表明していた米バイデン政権も、イスラエルのガザ攻撃に対する国内外の批判の高まりに直面し、その姿勢に揺らぎが見え始めている。

イスラエル政府高官は、いざとなれば単独でも行動すると繰り返し述べてきた。しかしガザ地区での悲惨な戦争と膨大な死者数に対して国際社会の批判が高まるなか、同盟国の支持は揺らぎつつある。

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