「地球温暖化を最も恐れているのは中国国民」と欧州機関の意識調査で明らかに...その3つの理由とは?
ニューズウィーク日本版 / 2024年6月28日 18時45分
六辻彰二
<国民が温暖化に高い関心を示す理由の一つには、実際にその被害に遭いやすいことが挙げられる>
・欧州投資銀行が行った意識調査によると、「生活を最も脅かす原因」として地球温暖化をあげた回答者は中国で73%にのぼり、アメリカやEUと比べても高い水準だった。
・温暖化への警戒とその対策を重視する傾向が中国で強い大きな背景としては、実際にその被害に遭いやすいことが考えられる。
・ただし、それに加えて、温暖化対策を進めることが共産党公認のスローガンであること、そして環境対策が経済成長につながることへの期待があることも無視できない。
温暖化をめぐる中国世論
欧州投資銀行は昨年、アメリカ、EU、中国で行った、地球環境問題に関する意識調査の結果を発表した。
それによると「生活を最も脅かすのは」という質問に対して、 “地球温暖化” と回答した割合が中国では73%にのぼり、アメリカ(39%)やヨーロッパ(47%)を上回った。
ちなみにそれ以外には “失業” 、 “健康と医療サービス” などの選択肢があったが、中国ではこのうち “温暖化” が他の二つ(それぞれ47%、33%)を上回った。
ヨーロッパでも “温暖化” が他の二つ(どちらも39%)を上回ったが、その差は8ポイントにとどまった。これに対して、中国のそれは20ポイント以上だった。
この結果を踏まえて欧州投資銀行は「地球温暖化を最も恐れているのは中国人」と結論した。
この調査結果に違和感を感じる人もあるかもしれない。
スウェーデンの環境保護活動家グレタ・トゥンベリ氏は2021年、中国がいまや世界最大のCO2排出国になったのに環境対策が進んでいないと批判し、「相変わらず開発途上国」と評した。
Yes, China is still categorized as a developing nation by WTO, they manufacture a lot of our products and so on.But that's of course no excuse for ruining future and present living conditions. We can't solve the climate crisis unless China drastically changes course.#MindTheGap https://t.co/00oV6uuvYE— Greta Thunberg (@GretaThunberg) May 7, 2021
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