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討論会惨敗の米民主党がここから「仮病」で大統領選に勝つ方法

ニューズウィーク日本版 / 2024年7月1日 17時23分

バイデンはウソを指摘し、正しい情報で反論できたはず。例えば、トランプはバイデン政権下で財政赤字も中国との貿易赤字も史上最悪レベルに達したと主張したが、そこにチャンスがあった! バイデンが「それはウソ。実はその二つの最悪の記録を作ったのはあなたの政権です」と、真実でもって論破すれば楽勝だったのに、バイデンは(自らも何回か数字を間違えたりして誤報を発信しながら)大ウソつきに負けた。

トランプの弱点は犯罪歴と虚言癖だけではない。討論会で聞かれた重要な質問:NATOから抜ける? 2021年1月に米議会議事堂に乱入した人たちを非難する? 気候変動はどう対策する? 高騰する子育てコストはどうする? 社会に蔓延するオピオイド依存症に苦しむ人々の救済策は? 今年の大統領選の選挙結果を受け入れるか? などを次々と答えずにかわした。

なぜ回答を避けるのか? 自分の支持者と一般国民との間で認識や気持ちの乖離があり、答えづらいものもあるが、それよりも、それぞれの課題に対する政策がないからだと思われる。バイデンは任期中にNATOを拡大させたり、米史上最高額の気候変動対策法を通したり、低所得家庭の育児費用を補助したりしている。つまり、政策だけではなく、実績もある。政策ゼロの男に負けるはずがないが、負けた。

バイデンは自分の老いへの不安の払拭も、トランプの不適切さの証明も、トランプのウソの訂正も、自分の政策や功績アピールもできていないのは、今回の討論会が初めてではない。ここまでの広報や選挙活動もずっと全く効果をみせていない。激戦州の世論調査でバイデンはとことん負けている。このままだと、本選挙も「こだまだけの東海道新幹線状態」だ。そう! のぞみもひかりもないのだ。

「ミッション仮病」でこう勝つ

アメリカや世界の未来がかかっている選挙だから、バイデンは記憶力もコミュニケーション能力も高い、負けるはずのない相手にちゃんと勝てるような「やり手の後輩」に選手交代するべきだ!

そう求める声が日々高まっている。米メディア各社のコメンテーターや寄稿者からも。大口の献金者からも。そしてなんと、ニューズウィーク日本版のコラムニスト(僕)からも。

だが、問題がある。8月の党大会で候補を変えることはルール上できるが、既に終了している全国の予備選挙で党員たちはバイデンを選んでいる。党大会で別人を本候補に指名すればそれは民意に反する、非民主主義的な強硬手段だ!と、確実にトランプから非難されるはずだ。これは痛い。

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