「なぜ日本が支援?」池上彰と考える、侵攻が続くウクライナと私たちのつながり
ニューズウィーク日本版 / 2024年7月10日 11時0分
JICAが提供したPCで学ぶウクライナの子どもたち
助けるだけではなく、グローバル人材としての活躍の場を
イーゴル 私たちのNPOは日本国内のウクライナ避難民もサポートしていますが、ただサポートするだけではなくてグローバル人材に育てたいという目的があります。彼らをずっとサポートされる人ではなく、何か社会に貢献できる人にしたいのです。教育プロセスの中でカフェを作って、利益はウクライナのために寄付される、ウクライナ人はウクライナのために主体性を持って働ける、カフェやイベントでウクライナ文化も紹介できるという、いろいろなところにWin-Winな仕組みを作りました。
(左)ウクライナ地図を刺繍するイベント(右)カフェで提供されているボルシチ(写真はいずれもNPO KRAIANY 提供)
池上 「避難民だから」「かわいそうだから」と助けるだけではなくて、 グローバル人材として育てていくということなんですね。ウクライナの人にしてみても、単に助けてもらうのではなく自分たちがグローバル人材として活躍できた方がいい。そういう場を作っていくのが本当の支援なんだなと思います。
イーゴル JICAは、ノウハウの共有などでウクライナの基盤を支えるような、いろいろな取り組みを行なってくれています。ポーランドに避難するウクライナ人に向けたITスキルの研修を行うなど、グローバル人材に育てるための重要な役割も果たしていただいています。
松永 ITスキル研修もそうなのですが、JICAは日本とウクライナの双方向の関係を重要視して、ウクライナ避難民を受け入れる隣国のポーランドやモルドバなどの国と連携した協力を行っています。そして今JICAはウクライナに対して地雷除去の協力も行っていますが、これはカンボジアと連携した協力です。このように世界中にウクライナ支援の機運を作っていくということも、我々の支援の中の重要なポイントだと考えています。
池上 特にカンボジアではずっと内戦が続いてきて、大量の地雷が残っている。JICAは地雷除去やそのための人材育成の協力を地道に続けてきた。そのノウハウなどが、ウクライナでも役に立っている。そういう形の協力があるんだということですね。
(左)JICAがポーランドで実施したITスキル研修の様子(右)JICAがカンボジアで実施したウクライナ政府職員への地雷除去研修の様子
「なぜ支援する?」それは日本と世界の平和、そして現代文明を守るため
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