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フランス発ユーロ危機はあるか──右翼と左翼の間で沈没する「エリート大統領」マクロン

ニューズウィーク日本版 / 2024年7月10日 20時45分

これは人前で肌をさらすことを拒否するムスリムの女子学生が水泳の授業を免除されていることへの批判だった。

革命(1789年)後のフランスでは、宗教的価値観を公的な場で示すことを制限する “世俗主義” が国是になっていて、これを根拠にマクロンはムスリム市民の文化的シンボルを制限しようとしたのだ。

こうした態度はフランスのムスリム市民だけでなく、各国のムスリムからも批判を集めてきた。

これに対して、メランションは性別、宗教、人種などがそれぞれの特性を失うことなく共生できる状態をクレオール化と呼び、移民の流入によってフランス文化に様々な要素が加わることにむしろプラスの意味を見出そうとする。

マクロンの “古き良きフランス” イメージが中高年白人の支持を集めやすいのに対して、メランションの “未来志向のフランス” は主に若年層やマイノリティから支持されやすい。

ただし、移民に寛容な姿勢をアピールするバイデン政権が発足した後、中南米からアメリカを目指す不法移民が急増したように、メランションが首相になれば中東・アフリカからフランスを目指す人の流れが加速することも想定される。

それでもマクロンがメランションを抑えるのは難しいだろう。右翼と左翼の間でマクロンがレームダックになったことで、フランスはヨーロッパ全体を揺るがす震源地になりかねないのである。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

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