まじめに頑張る人ほど苦戦...「できる営業」は何が違う? 2万人調査で見えた「できない営業」の問題点
ニューズウィーク日本版 / 2024年7月17日 11時22分
成果を出す人は「武器の引き出し」をたくさん持っている
──調査の結果、どのようなことがわかりましたか。
営業1万人調査では、目標達成段階を5段階に分けて、一番達成レベルが高い人と低い人を比較したんです。そうしたら、達成レベルが低い人は「まじめさや誠実さ」、「人の話に耳を傾けること」に自分の強みを見出している傾向が強いことがわかりました。
もちろんハイパフォーマンスな人もそれを意識していないわけではありません。ただ、ハイパフォーマーはそれ以外の武器のラインナップが広いんです。逆に目標未達の人たちは、まじめや誠実さ以外の武器が少ないことが調査を通して見えてきました。
営業の世界には、よく言われる「3つのアドバイス」があります。1つ目は「目標達成を意識しなさい」、2つ目は「大量行動をしなさい」、3つ目は「お客様と関係構築をしなさい」。
この中で、3つ目の「関係構築」がとりわけ難しいんですね。目標達成を意識することはできるし、大量行動もがんばればできる。でも、いくらがんばっても冷たいお客様っていますよね。また、新規のアポイント獲得のためにお電話しても、「まずは資料だけ送ってください」とかわされ続けていたら、関係構築も何もありません。それでも営業の指導では「たくさん行動をしていれば、関係構築できるよ」などとアドバイスされるわけです。
このアドバイスは、たしかに正論なのですが、あまりにアバウトすぎます。そこで私は「なぜお客様は営業と距離を縮めようとしないのか」ということを、しっかり解き明かしたいと思いました。そしてたどり着いたのが、『営業の科学』でも紹介している「購買者の仮面」です。
この「購買者の仮面」に気づけるかどうかが成果の明暗を分けるんです。成果の出ない人は、その仮面を被ったお客様に翻弄されている。逆に成果を上げている人は、仮面をうまく外してもらっているんです。
TORiX代表の高橋浩一さん(flier提供)
──「購買者の仮面」とは、具体的にはどのようなものでしょうか。
例えば、インサイドセールスの人が新規のアポイントを取ろうとするとき「今忙しいので」「ではいつなら空いていらっしゃいますか」というやりとりが発生します。それで「1カ月ぐらい忙しいかもしれない」と言われて1カ月後に電話してみると、「まだ忙しいです」と。また1カ月待って電話しても相手はまだ忙しい......。こういうやりとりを延々と繰り返すんですね。
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