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バイデン政権とは何だったか──「超大国であろうとして空回り」トランプとハリスそれぞれの打開策

ニューズウィーク日本版 / 2024年7月25日 12時15分

バイデン大統領(3月21日、ニューヨーク) Naresh79-Shutterstock

六辻彰二
<実態の疑わしい民主主義サミット、ガザ侵攻でのイスラエル擁護...超大国の限界をあらわにしたバイデン政権と、アメリカがこれから向かう先とは>

・一期限りで終わることが確定したバイデン政権は、アメリカが超大国として振る舞うことにエネルギーを注いだといえる。

・しかし、かつての力が失われているなか、冷戦時代さながらに超大国として振る舞おうとしても、矛盾や限界がかえって浮き彫りになった。

・大統領選挙で有力視されるトランプとハリスそれぞれの方針からは、バイデンが苦闘した “空回り” を乗り越える二つの道をうかがえる。

ジョー・バイデンは超大国・アメリカの残影に取りつかれた大統領だったといえる。

超大国としての “空回り” 

全く意外だったわけでもないが、バイデンが大統領選挙から撤退したことは、やはり世界に大きな衝撃を与えた。

現職大統領が再選を目指して立候補しながら、大統領選を途中で離脱というのは極めて異例だ。

支持率低下に歯止めが効かず、共和党トランプに対抗できないという危機感があったとはいえ、支持者の間で大統領に “撤退” 要求が公然とあがったことも異例だった。

そのバイデン政権を改めてふり返ると、そこには超大国として振る舞おうとして空回りしてきた姿が浮かぶ。

バイデン政権はアメリカの歴代政権以上に自由と民主主義を世界へ発信し続けながら、それまで以上に自由と民主主義の信頼を損なってきたからだ。

 “民主主義vs.権威主義” の虚構

バイデン政権の “空回り” はトランプ政権への反動から生まれた。

2016年に誕生したトランプ政権は孤立主義的な “アメリカ第一” を掲げた。しかし、一方的な関税引き上げは対中関係だけでなく、同盟国との関係さえギクシャクさせた。

その反動でバイデン政権は日欧などの同盟を重視し、その結束に基づいて中国やロシアと対抗しようとしてきた。

 “民主主義vs.権威主義” の構図はトランプ政権末期にペンス副大統領(当時)らが口にし始めたが、バイデン政権期に本格化した。バイデンは就任後、世界各国に呼びかけて “民主主義サミット” を開催し、アメリカを中心とする陣営の形成をアピールしたのだ。

ところが、民主主義サミットは当初から実態が疑わしいものだった。

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