BLACKPINK、TWICE、NewJeansだけではなかった 韓国ディープフェイク性被害は中学生や女性兵士にまで
ニューズウィーク日本版 / 2024年9月5日 14時30分
しかし、警察では合成されたわいせつ物が確認されなかったと言われ、何も対応してもらえなかったという。
「両親と(警察署に)行ってきたんです。でもそこでは「裸体と合成されたわけではないから何も解決できることがない」と言われて......」
一方で加害者側が中学生だったという事件も起きている。しかも被害者は担任の女性教師だった。教師のBさんは7月、SNSでメッセージを受け取った。担任するクラスの生徒がBさんの写真でディープフェイク画像を作成したという内容だった。
「生徒がこのようなことをしたということ自体が私はちょっと信じがたい状況で......」
問題の生徒はディープフェイク画像作成の事実を認め、強制転校処分を受けた。ただ転校した先の学校は歩いてわずか10分ほどしか離れていなかったという。
「他の子たちも信じられないんです。回して見たんじゃないかという気もするし......」
一連のディープフェイクによる被害を重く見た韓国教育部(日本の文科省に相当)は、地方の教育庁を通じて調査した結果、今年1月から8月27日までの期間に、学生および教員のディープフェイク被害件数が学生被害が186件、教員被害が10件、計196件確認されたと明らかにした。教育部は学生・教員の不安感を解消するために緊急タスクフォースを設置する一方、関係部署による対策会議などを経て10月中に教育分野ディープフェイク対策を策定するという。
批判の高まりに、警察もテレグラフを調査
一連のディープフェイク問題が社会問題化したことで、これまで本腰を入れて対応してこなかった警察も、重い腰上げて対策に乗り出し始めた。
これまで警察がこの問題について本格的な捜査をしなかったのは、ディープフェイク画像の配布が、秘匿性の高いSNSテレグラムによって行われているという部分が大きい。また最高裁の量刑基準ではディープフェイクを制作、配布した場合、加重処罰まで受けても最大懲役2年6カ月に止まる。さらに被害者が成人の場合は、現行法では制作した者だけが処罰対象で、所持や視聴については処罰できないという問題もある。
ただ、意外なところから状況に変化が起きた。8月24日、フランス政府はテレグラム創業者であるパーベル・ドゥロフCEOをパリで逮捕。オンライン性犯罪、麻薬流通など各種犯罪の幇助および共謀した疑いで起訴した。ドゥロフは25日に保釈されたが、フランスからの出国は禁じられた。
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