パリ五輪の開会式めぐる「お門違いの大炎上」は、なぜ起こったのか?...答えはキリスト教の歴史の中に
ニューズウィーク日本版 / 2024年9月3日 16時9分
食事を共にすることが関係の強力なしるしだった文化において、あらゆる人々を分け隔てなくもてなす神を崇拝することも奨励した。
初期キリスト教のユーカリストも結局、ディオニュソスの饗宴と同じような含みがあった。どちらも社会的境界の崩壊、人間と神の境界の崩壊を象徴する。こうした意識はキリスト教が覇権を確立していった数世紀の間に大部分が失われ、ユーカリストへの参加は政治的武器として利用され、社会規範を確立し施行する方法と化した。
キリスト教以前の文化と中世キリスト教文化のより広範な融合の中で、ディオニュソスとキリスト教が結び付いていたのは紛れもない事実だ。だが両者の具体的な結び付きは今にこそ通じる。
結局のところ皮肉なことに、社会の片隅に追いやられた人々に手を差し伸べることと結び付けられる儀礼的な祝宴が、境界を強化し、それらの人々をさらに脇へ追いやるために利用されている。
パリ五輪の開会式に対する反応は、見過ごされてきたキリスト教と古代ギリシャ・ローマの宗教的表象の歴史的な結び付きを浮き彫りにした。同時に、ディオニュソスとキリストの深い結び付き、とりわけ聖なる犠牲、復活、境界打破という共通のテーマを認識するチャンスにもなった。
Katie Kelaidis, Research Fellow Institute of Orthodox Christian Studies, University of Cambridge
This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.
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