リーダーの「自己防衛」が、チームの崩壊を招くリスクに...いま職場でチームレジリエンスが必須な理由
ニューズウィーク日本版 / 2024年9月14日 15時52分
彼らは低迷しても大炎上しても、現状を分析し、そのたびに盛り返してきた。まさにチームレジリエンスを体現した事例といえるでしょう。
旅客機のチームのように失敗が致命的な場合は、事前の備えが欠かせない。一方で、炎上のように予測ができず後でカバーすべき場合は、いかに視点を転換してピボットするか、あるいは過去に積み上げてきた資産を活かすかが重要になります。
著書では「レジリエンスの4つの戦略」というマトリクスを紹介しています。困難を「活かす―あしらう」の観点と、困難に「すばやく―ゆっくり」対処するという観点によって、「スーパーボール/バネ型」「風船型」「起き上がりこぼし型」「柳型」というふうにレジリエンス戦略を4種類に分類しています。
その中で、オリラジは、困難を活かしすばやく対処する「スーパーボール/バネ型」のレジリエンス戦略を体現しているのです。
『チームレジリエンス』より「レジリエンスの4つの戦略」
属性も価値観もバラバラ。メンバーのコミットメントを高めるためには?
──プロジェクトベースの業務が増え、メンバーの属性や価値観が多様化しています。そんな中、「チームレジリエンス発揮の3ステップ」の「課題を定めて対処する」というステップは、難しいのではと感じました。成長意欲もチームへの帰属意識も異なる中で、リーダーはこうした状況をどう乗り越えたらいいのでしょうか。
池田 業務形態も価値観もさまざまで、チームとして一体感を持ちにくい状況はたしかに増えていますね。そんなときは、チームの目標は何か、それが自身のキャリアとどうつながっているか、共通認識を確かめる機会を設けることをおすすめします。ミーティングの一部でもかまいません。すると、チームへの関わり方が小さいメンバーも、「この業務は自分のためにもなる」と思えて、チームに尽くそうという意欲が湧くと思います。
安斎 どんなチームでも、コアメンバーとその周辺のアクティブメンバー、そしてさらにその周りに関わりがゆるやかなメンバーがいます。課題を定める際に必ずしも全員がフル参加する必要はなくて、リーダーとサブリーダーで設定した課題に対し、他のメンバーから意見を募る、という形でもいいかもしれない。大事なのはリーダー一人で独裁的に決めずに、他者の視点を取り入れること。
また、周辺的なメンバーにもコミットしてもらうためには、自分のフィードバックが何かしらチーム運営に影響を与えた成功体験が必要になります。「あのときの意見が反映されている」といった状況をつくることが、個々のコミットメントを高めることにつながると思います。
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