人を仮死状態にする薬をAIで探したら、認知症治療薬がヒット...なぜ「ドネぺジル」は冬眠の代わりになり得るのか?
ニューズウィーク日本版 / 2024年9月9日 13時40分
この薬は「冷やさずにコールドスリープを誘発する薬」とも言えます。SFのように宇宙開発で使われる未来は考えられるでしょうか。
現在、日本が関わっている有人宇宙探査は、月に再び人類を降り立たせようという「アルテミス計画」が進んでいます。月の次は火星と構想されていますが、現在の技術では地球から火星まで片道約250日かかります。人工的な冬眠で一部の日程だけでも宇宙飛行士たちの代謝や呼吸数を抑えることができれば、ロケットに積む食料や酸素を節約することができます。
もっとも、宇宙の微小重力下では、薬の効き方や代謝されるまでの時間が地球上とは異なってくる可能性があります。宇宙空間での動物実験や臨床試験が必要であることを考えれば、実現はそう簡単ではないでしょう。
とは言っても、一般に医薬品の開発には10年以上の時間と数100億~数1000億円規模の費用が必要とされます。今回の研究で示された「既存の承認薬が持つ他の薬効をAIに調べさせる」手法は、開発期間と費用を大幅に削減し、結果として薬価を抑えるための救世主になるかもしれません。
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