初心者も今すぐできる「伝わる文章」で心を撃つためのシンプルな3原則【名文記者の文章術】
ニューズウィーク日本版 / 2024年9月19日 17時55分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
<「分かりやすい文章」は誰でもすぐ書ける。まずは「文章は短く」。では残り2つは? ベストセラーに学ぶ>
朝日新聞記者で作家の近藤康太郎氏のもとには、文章力を磨きたい若い記者が集まり、勉強会が開かれるようになった。文章がうまくなりたい。文章でコミュニケーションを取る時代、プロにかぎったことではない。いい文章が書ける人は出世する人だ。
近藤氏が35年にわたり培った25の文章技術を解説した『三行で撃つ 〈善く、生きる〉ための文章塾』(CCCメディアハウス)が反響を呼んでいる。10刷が決まり、アマゾンレビューは600件超、星4.3。「実践できる思想書」として、プロのライターや日常的に文章を書く人たちに受け入れられている。
「うまい文章」とはなにか? 「うまい文章」をシンプルに「分かりやすい文章」とするならば、そのコツは3つだけだという。同書より取り上げる。
※本記事は前後編の前編(後編:「うまい文章」は「いい文章」なのか? 身につけたいのは「いい文章」を書く力【ベストセラー文章術】)
◇ ◇ ◇
「うまい文章」を「分かりやすい文章」と定義したら
うまい文章とはなにか。うまい文章を定義するのは、とても難しいですね。答えることが難しい質問とは、たいてい、問いが間違っているんです(「幸せとはなにか?」「自分はなぜ生まれてきたのか?」「ほんとうの愛とはなにか?」等々)。そういうときは、問いを変えるとうまくいきます。ここでは、冒頭の問いを分節してみます。
◎「うまい」とはなにか。
◎「文章」とはなにか。
「うまい」とはなんでしょうか。初心者向けのホップ[※編集部注:『三行で撃つ』は後半が上級者編「ジャンプ」]では、もう、投げやり気味に簡単に結論を出してしまいます。
うまいとは、分かりやすいことである。
「分かりやすい文章」のルールは3つだけ
分かりやすいとは、書き手のいいたいことが、誤解されずに読者に伝わること、とでもしておきましょう。ここでは、その逆、分かりにくい文章の傑作をひとつ掲げます。会社の会合で、幹事からこんなメールが来たらどうでしょうね。
「あ、すみません。時間に関しては前々回の訂正の部分がやっぱり正解で、日にちについてはその次の連絡が正しい日時です」
「あ、すみません、やっぱり間違っていて直近の訂正が正解ということがわかりました。ただし、皆様に送ったメールに時間差があり、前回分と前々回分というのが人によって異なる可能性があるのでご注意ください。一斉送信したのですが、あとから決まったメンバーの分は後から送りましたので、その人にとってそれは初回です」
(町田康『人生パンク道場』)
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