初心者も今すぐできる「伝わる文章」で心を撃つためのシンプルな3原則【名文記者の文章術】
ニューズウィーク日本版 / 2024年9月19日 17時55分
ところで、「地震!」や「むろん」だけを切り出すと、それは、文章でしょうか。主部と述部があって文章を構成するという観点に立てば、文章ではないですね。「地震」は言うまでもなく名詞で、「むろん」は副詞です。ところが、小説を読むと分かりますが、この品詞ひとつで、文章になり得る。
文章とはなにか。文章とはキャリアー(信号、波、触媒、運ぶもの、感染)です。言葉を発する主体の、感情、判断、思想を乗せて走るクロネコヤマトです。
宛先は、もちろん読者です。感情、判断、思想がそこに梱包されていなければ、読者の受け取り印はもらえません。読者の受け取り印とは、心が揺れた、倒壊したという現象です。地震!
◇ ◇ ◇
近藤康太郎(こんどう・こうたろう)
作家/評論家/百姓/猟師。1963年、東京・渋谷生まれ。1987年、朝日新聞社入社。川崎支局、学芸部、AERA編集部、ニューヨーク支局を経て、九州へ。新聞紙面では、コラム「多事奏論」、地方での米作りや狩猟体験を通じて資本主義や現代社会までを考察する連載「アロハで猟師してみました」を担当する。
著書に『ワーク・イズ・ライフ 宇宙一チャラい仕事論』、『三行で撃つ〈善く、生きる〉ための文章塾』、『百冊で耕す〈自由に、なる〉ための読書術』(CCCメディアハウス)、『アロハで田植え、はじめました』、『アロハで猟師、はじめました』(河出書房新社)、『朝日新聞記者が書けなかったアメリカの大汚点』、『朝日新聞記者が書いたアメリカ人「アホ・マヌケ」論』、『アメリカが知らないアメリカ 世界帝国を動かす深奥部の力』(講談社)、『リアルロック 日本語ROCK小事典』(三一書房)、『成長のない社会で、わたしたちはいかに生きていくべきなのか』(水野和夫氏との共著、徳間書店)他がある。
『三行で撃つ 〈善く、生きる〉ための文章塾』
近藤康太郎[著]
CCCメディアハウス[刊]
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