自著をヒットさせてきたライターが語る「本を出したい」人が知っておきたいこと【出版業界】
ニューズウィーク日本版 / 2024年9月25日 17時55分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
<「本を出すのに文章力は必要ない」と言うと驚かれるが、本を出すのに文章力はいらない。しかし必要なことがある。何か?>
自分の知見や文章を発信したいビジネスパーソンは多く、その機会も増えた。SNSやnoteが情報発信への参入ハードルを下げ、同人誌を売る文学フリマも盛況だ。とはいえ、出版社から本を出したいとなれば、話は別だ。出版を実現するためのノウハウは、意外と知られていない。
『本を出したい』(CCCメディアハウス)は、「出版社から本を出す」ための方法を解説している。著者の佐藤友美氏は、作家として8冊の単著と3冊の共著を出版し、書籍ライターとして52冊のビジネス書や実用書の執筆に携わってきた。『本を出したい』は前著の『書く仕事がしたい』とあわせて、多数の出版社や編集者、著者と仕事をしてきた経験が惜しみなくシェアされたトリセツとして好評だ。
では、そもそも本を出すとはどういうことか? 『本を出したい』より取り上げる。
※本記事は全3回の第1回
◇ ◇ ◇
ベストセラーの多くは本人が書いていない
「いつか自分の本を出すのが夢なんです。でも、文章力がないと無理ですよね?」
これまで、数えきれないほどの人から、このような質問をされました。そのたびに、「本を出すのに文章力はいりませんよ。というより、自分で原稿を書かなくてもよいですよ」と、お答えしてきました。
こうお伝えすると、ほとんどの人は驚いた顔をします。そうですよね。私も初めてこの事実を知ったときは、びっくりしました。
これまで、60冊ほどの書籍の執筆に関わってきました。が、私自身もほんの10年前まで、書店に並ぶベストセラー書籍の多くは、本人が書いているわけではないことを知りませんでした。
ビジネスパーソンは本を出す方法が作家とは違う
もちろん、小説やエッセイのような「読み物」のジャンルの書籍を書いているのは著者本人です。こういった書籍は、オリジナルのストーリーや文体など、「その人ならではの文章表現」そのものが価値です。
このような、「文章そのもの」で価値を提供する小説家やエッセイストなどの書き手は、著者の中でもとくに「作家」と呼ばれます。でも、ビジネス書や、自己啓発書、健康本や料理本、メイク本などの実用書は、必ずしも本人が執筆しているわけではありません。
著者となる人の多くは、普段は会社を経営していたり、セミナー業をしていたり、医者だったり、料理研究家だったり、メイクアップアーティストだったりします。つまり「本業」がある人たちです。こういった「その道のプロ」の視点を本にまとめるために、編集者や書籍ライター(ブックライター)と呼ばれる人たちが本づくりの手伝いをします。
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