1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

深圳日本人学校の男児殺害に日本はもっと怒るべきだ

ニューズウィーク日本版 / 2024年9月20日 15時58分

その結果、「根底に愛国心があるなら、日本に対しては多少の逸脱行為や無軌道な振る舞いをしても許される」と考える中国人が一定数、出現する。

5月と8月に落書き事件が起きた際、中国政府は「靖国神社は軍国主義の象徴」などと非難の言葉を延々と語ったあと、付け足すように「現地の法律は守るべき」と述べた。

愛国無罪とまではいかないが、愛国心があれば社会的に糾弾されることはないというメッセージになっただろう。

6月に蘇州で日本人母子が襲われた際、中国政府は「偶発的な事件」とした上で「中国は世界でももっとも安全な国の一つ」と大見得を切った。それからわずか3カ月後に再び同じような事件が起き、最悪の結果を生んだ。

あの時、中国政府がたとえば「我々は自国を愛するべきではあるが、愛国心が他国への憎しみとなってはいけない」など、もう少し自制を促すような言葉を発していれば、今回の事件は防げていたかもしれない。「行き過ぎた反日感情」を野放しにしてきた中国政府には、日本人男児が死亡したことに対する責任があるはずだ。

中国でしか起きない事件

中国政府は今回の事件についても「個別の事件で、同種の事案はどの国でも起こりえる」と主張。あくまでも、「通り魔事件の1つ」という認識を押し通そうとしている。

ふざけるな、と私は言いたい。柳条湖事件の起きた9月18日に日本人を狙った凶悪事件が起きたのは、どう考えても偶然とは思えない。普通に考えれば、中国政府が反日感情を煽り続けてきた結果、9月18日なら日本人を襲ってもいいのだと妄想する人間を生み出したのだろう。

こんな事件は、全世界のなかで中国でしか起こらない。

ヘイトクライムによって人命が失われたと捉えるのが自然であり、日本政府としては「日本の国民感情を深刻に傷つけた」、「中国社会の安全性について、強い危惧を抱いている」、「中国政府が反日感情をいたずらに煽っていることについて、抗議する」ぐらいのことを言わねばなるまい。

私たちは、行き過ぎた反日感情によって子供の命が奪われたことに対し、もっと怒らなくてはいけない。

言うまでもないが、中国人の99%は善良な人々であり、怒りの矛先を彼らに向けるのは筋違いである。十把一絡げに中国人全体を敵視するのは、事件を起こした犯人と同じぐらい低レベルな人間のすることだ。

中国は長年、自国民を一致団結させる道具として反日感情を利用してきた面がある。日本にも戦争の贖罪意識や経済大国としての余裕があり、ある程度はやむを得ないと受け入れてきた。だが、今の日本にそんな余裕は微塵もない。「無限の謝罪」を求められることに、多くの日本人はうんざりしている。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください