イスラエル軍が1956年に起こした悲惨な虐殺を風刺漫画家が追った...「コミック・ジャーナリズム」とは何か?
ニューズウィーク日本版 / 2024年10月4日 12時30分
しかしそれでもかろうじて消え去ってしまわずに、欄外の脚註には痕跡をとどめている出来事、あるいはサッコ自身が欄外の脚註にはなんとか書き残そうと足掻いている出来事、それが1956年のハーンユーニスとラファハでの虐殺ということになる。
そうしたニュアンスを伝えるために、この日本語訳のタイトルをたんに『ガザの脚註』と直訳するのではなく、しかし勝手に日本語版のタイトルを創作するのでもなく、サッコの試みと意図をできるだけ汲み取って伝えられるように編集者とともに悩んだ。その結果が『ガザ 欄外の声を求めて』である。何がベストで正解とは言えないなかでの工夫を受け入れていただければ幸いである。
早尾貴紀(Takanori Hayao)
1973年生まれ、東京経済大学教員。パレスチナ/イスラエル研究、社会思想史研究。ヘブライ大学客員研究員として2002-04年(第二次インティファーダ期)に東エルサレム在住、その間に西岸地区、ガザ地区、イスラエル国内でフィールドワーク。著書に『パレスチナ/イスラエル論』、『ユダヤとイスラエルのあいだ』など、訳書に『パレスチナの民族浄化』イラン・パペ(田浪亜央江との共訳)『ホロコーストからガザへ』サラ・ロイ(岡真理、小田切拓との共訳)などがある。
『ガザ 欄外の声を求めて FOOTNOTES IN GAZA』
ジョー・サッコ[著]
早尾貴紀[訳・解説]
Type Slowly[刊]
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イベントのお知らせ
「ガザ 欄外の声を求めて FOOTNOTES IN GAZA」(Type Slowly刊)発売記念
抵抗と虐殺をいかに描くか──アート/コミック・ジャーナリズムの可能性
by 早尾貴紀(パレスチナ/イスラエル研究)×山本浩貴(文化研究者)
日時:2024年10月14日(月)
時間:open18:30/start19:00
会場:hako gallery(代々木上原)/渋谷区西原3-1-4
詳細とお申し込みは→こちらから
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