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米空前の住宅バブルは与党候補ハリスに有利に働く?──研究論文

ニューズウィーク日本版 / 2024年10月10日 10時13分

C.J. BURTONーCORBIS/GETTY IMAGES

ジュリア・カーボナロ(本誌記者)
<住宅価格の高騰と供給不足が有権者の投票行動に影響を及ぼす仕組み>

全米で住宅価格の高騰が続き、多くの購入希望者が市場から締め出されている。11月の米大統領選に挑むカマラ・ハリス副大統領とドナルド・トランプ前大統領はどちらも、住宅購入コストを引き下げるために何らかの対策を取ると約束せざるを得ない状況だ。

ただし、史上最高レベルの価格の上昇は、国内の数千万人の住宅所有者にとって資産価値が上昇したということでもある。彼らの資産価値の上昇はハリスへの投票へと駆り立てるかもしれない。そんな可能性を示唆する斬新な研究がある。

2023年4月に発表された研究「住宅価格の動向と有権者(Housing Performance and the Electorate)」は過去6回の米大統領選挙について、住宅価格と選挙結果を分析。アメリカの「最大のアセットクラス(投資対象となる資産の種類や分類)である住宅用不動産」が、個々の有権者の行動にどのように影響するかを見いだそうという類を見ない試みだ。

価格上昇なら与党候補に投票

当初の仮説では、住宅所有者は自分の資産価値の上昇につながる政策を支持する候補者に、投票する傾向があると考えられていた。

そして、今回の研究から、選挙前の4年間に住宅価格が上昇した郡の住宅所有者は、現職大統領の政党に「投票先を変更する」傾向が強いことが分かった。一方、住宅価格があまり上昇しなかった郡では、野党に投票する傾向が高かった。

住宅価格の変動は、7つの激戦州(アリゾナ、ジョージア、ミシガン、ネバダ、ノースカロライナ、ペンシルベニア、ウィスコンシン)でも特に接戦が予想される郡で、有権者の行動により大きな影響を与えていた。

この点だけを見ると、激戦州の住宅所有者は11月にジョー・バイデン大統領に投票する可能性が高いと考えられた。その後バイデンが選挙戦から撤退し、ハリスが民主党候補に選ばれており、同じ理論がハリスに有利に働くかもしれない。

「有権者は投票所で決断する際に、自分の経済状況を考慮する」と、研究の共同執筆者であるアラバマ大学のアラン・ティドウェル准教授(金融学)は本誌に語った。

「一般に、経済が繁栄しているときは現政権の党が有利で、景気が低迷しているときは野党の支持が高まる。同じように、住宅価格に関する今回の研究結果は、住宅用不動産の価格の動向が、国政選挙に限定的ながら現実的かつ重大な影響を与えることを示唆している」

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