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【私らしく書く】「自分のこと」を書きたいが...人気エッセイストの「ネタ切れ」しないための習慣

ニューズウィーク日本版 / 2024年10月31日 16時50分

村井理子氏は記録の鬼として知られる/Bru-nO-pixabay

ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
<書くことが尽きないのは、すごい事件が日々起きるからではない。継続して書くための戦略と鍛錬とは?>

ブログやnoteを活用し、文章で自己表現する人が増えている。しかし、日記やエッセイのスタイルで文章を書きはじめたものの、書くネタが尽きてしまって続かなかったというケースは多いものだ。

『兄の終い』(CCCメディアハウス)や『義父母の介護』(新潮社)他、エッセイ作品が人気の村井理子氏は『エヴリシング・ワークス・アウト 訳して、書いて、楽しんで』(CCCメディアハウス)で、自分のことを書き続けるコツを解説している。

◇ ◇ ◇

エッセイの仕事が翻訳の仕事に生きる理由?

私の土台は翻訳ですが、2本目の柱はエッセイです。エッセイの仕事は、翻訳にも生きています。翻訳は日本語の文章力が必要な仕事ですから、エッセイを書くことが訓練になっているのでしょう。

翻訳家はいつも、他者の文章をその著者になったつもりで忠実に訳しています。でも、自分が主語の文章を書いてみることで、見えてくることが多々あります。

まず、ゼロから書き上げる苦労のようなものが理解できるようになります。エッセイを書きはじめると、ものを見る視点がより広く、深くなります。

エッセイのネタが尽きないようにする工夫

エッセイは日常のことを書きますが、人から「よくネタ切れしないね?」と言われることが多々あります。私の人生が他の人の人生に比べて事件が多いというわけではなくて、私は様々なことを、些細なことから大きなことまで、逐一記録しているから途切れることなく書けるのです。

Google ドキュメントに、スケジュール、その日あったこと、すべて記録しています。今日は何をした、こんな話をした、どんなものを買った、いま夢中になっていること、おもしろい人と、その観察日記、このような多種多様な情報をほぼすべて記録して残しているのです。

エッセイの依頼が多くなるにつれ、こんな工夫が必要だと思うようになりました。いわゆる、「ネタ」が尽きるのはわかっていましたし、すんなりと素晴らしい文章が頭に浮かんでくるとも思えませんでした。ですから、私は毎日、必死に仕込みをしているのです。

とにかく多くを記録していくこと。そのとき感じた心の動きも書いておくこと。このような詳細な記録のなかから、当時の自分の気持ちを上手に乗っけて書けそうな話をピックアップするのです。9割は使えません。残り1割から書く程度の打率だと思ってください。

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