衝撃の暴露...トランプとプーチンの「黒い蜜月」・核戦争を回避したバイデン政権の裏側が明らかに
ニューズウィーク日本版 / 2024年10月17日 16時2分
ウクライナ侵攻が始まって2年半というもの、バイデンは「対応が煮え切らない」とか、「ウクライナ防衛のための十分な武器をすぐに送らなかった」といった批判を浴びてきた。
確かにバイデンは、M1A1エイブラムズといった主力の戦車や精度の高い長距離砲、F16などのジェット戦闘機の供与には二の足を踏んだ(最終的には供与したが)。
そしてウクライナがハルキウ州で反攻を始めた後の22年10月、バイデンはアメリカ国民に対し、ロシアが核兵器を使用すれば「アルマゲドン(最終戦争)」に発展する可能性もあると警告を発した。
そんな事態は、核兵器が使われる「直接的な脅威」が存在したキューバ・ミサイル危機以来初めてだとも彼は述べた。
当時、核兵器の使用などプーチンのはったりではと考える人もいた。だがウッドワードが引用したアメリカの情報機関の分析は、侵攻前のプーチンの意図を驚くほど正確に見抜いていたのと同様に、この場合もまさに慧眼というべき内容だった。
実際、後になってプーチンは、何がロシアの戦術核使用のきっかけになり得るかを具体的に説明している。
プーチンは9月、ウクライナが西側から供与された長距離ミサイルでロシア領の奥深くまで攻撃するのを西側諸国が認めるなら、核兵器による反撃は正当化されるかもしれないと述べたのだ。
「10月ミサイル危機」の対応
ウクライナの抵抗ゆえに、ロシア側に何十万人もの犠牲が出ていることも、見方によっては大きな危険をはらんでいる。
本書には米統合参謀本部議長(当時)のマーク・ミリーとロシアのバレリー・ゲラシモフ参謀総長の会話が出てくるが、そこでゲラシモフは、ロシア側の核兵器使用の条件の1つとして「戦場において壊滅的な損害を受けた」場合を挙げている。それに対しミリーは「そんなことはあり得ない」と述べた。
一方で、そう遠くない未来にそうした事態が起こらないとは限らない。
「10月ミサイル危機」で──それもトランプとプーチンの関係に対する疑惑が拡大していくなかで──バイデンが取った行動の理由は、今となってはよく分かる。
政治家として台頭するなかで、トランプは繰り返し、自分とプーチンの間には、プーチンの言いなりにならなければならないような関係は存在しないと主張してきた。その一方で、トランプはプーチンへの批判を拒んでもきた。
ウッドワードは、9月にロシアで開催されたある経済会議でのこんなプーチンの言葉を取り上げている。「トランプ氏は、ウクライナ危機を含むあらゆる火急の問題を数日で解決すると述べている。喜ばしい話だと言うほかない」
ちなみに、トランプが大統領選に出馬するよりもっと前、彼の経営する企業が経営不振に陥った挙げ句、資金面でロシアや旧ソ連圏の国々への依存の度を深めていたことについては、本書以外でも調査や報道が何度もされている。
From Foreign Policy Magazine
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