コワモテ国家ハンガリーが、異次元の優しい家庭政策で出生率アップに成功している
ニューズウィーク日本版 / 2024年10月23日 19時46分
MCCで法律を学ぶボッドナー・リッラ・ドリナ COURTESY OF BODNÁR LILLA DORINA
家族政策だけではない。ハンガリー政府は未来のハンガリーを牽引する若者を育てるユニークな教育プログラム「マティアス・コルビヌス・コレギウム(MCC)」にも出資し、効果を上げている。
若者の国外流出を止める教育
この機関は、ハンガリーとその周辺国に住むハンガリー人の若者の才能を育てることを目的とした、教育・研究センターだ。96年に設立され、15世紀の著名な王マティアス・コルビヌスにちなんで名付けられたMCCは、無料の補習教育を通して、グローバルな国際関係を理解し、ハンガリーの発展に貢献するリーダーの育成を目指す。
MCCには法律、経済、心理学、メディア、国際関係、社会科学・歴史、リーダシップアカデミーという7つのユニットがあり、世界中から講師を呼び寄せ、セミナーや授業を無料で開催している。ハンガリーの少数民族、ロマ・コミュニティーや女性のリーダー育成の支援もしており、スロバキア、ルーマニア、ウクライナ、セルビアにも地域センターを設置している。
24年度から25年度には、10代前半の学生から30代の若手社会人まで幅広い年齢層の学生が約8000人、MCCに在籍している。ただし、誰もが入れるわけではない。いくつかの選考プロセスを経て入学が決まる。
MCCはイベントも開催 COURTESY OF MCC
ラーンチィ・ペーテルMCC副総局長は「学生の受け入れに当たっては、成績のみで判断することはありません。人格、向上心、課外活動への参加、地域社会を改善したいという意欲を示す学生に関心を持っています。また、プログラムは無料であるため、恵まれない学生にも届くよう努めています」と話す。
ミシュコルツ大学で法律を専攻し、国際犯罪調査に関わる仕事に就きたいというボッドナー・リッラ・ドリナは、「MCCのおかげで法律分野で実績のある方々と交流する機会に恵まれ、彼らの経験から、貴重な洞察を得ることができました。また、無料で外国旅行をする機会を提供してくれ、グローバルな視点を持つことができました」と話す。
同大学でマーケティングを専攻しているベンチク・タマーシュは「大学でのレクチャーよりも実践的なクラスが気に入っています。エコシステムのスタートアップでインターンをするなど、国外で実際に活動をするプログラムもあるところもMCCのよいところです」と語る。
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