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B29の発進地「原爆の島」が再び動き出す...米軍が太平洋で進める、新たな「対中国戦略ミッション」とは?

ニューズウィーク日本版 / 2024年10月23日 16時16分

中国のミサイルの射程内で

サイパンやテニアンのある北マリアナ諸島とグアムは、西太平洋におけるアメリカの敵対勢力を封じ込めるために冷戦時代に考案された防衛ラインのうち、第2列島線の一部をなす。

北は日本から東南アジアまで伸びる第1列島線と第2列島線は、現在、中国の海軍と空軍の活動を阻止する戦略の一部となっている。

こうした防衛計画は、中国の長距離弾道ミサイルが、この地域のアメリカの軍事拠点(グアムを含む)に到達できることを考慮に入れなければならない。

テニアンは、米軍の集結区域として理想的な場所にある。台湾海峡、そして東シナ海と南シナ海(同盟国の日本とフィリピンが中国と領有権問題を抱えている海域)までは、2500~2700キロほどなのだ。

現在、中国人民解放軍のロケット軍は、5500キロの射程を持つ通常ミサイルと核ミサイルを保有している。中距離弾道ミサイル「東風26」はグアムへの核攻撃を行う能力があるとされ、「グアム・エクスプレス」「グアム・キラー」などとも呼ばれている。

このように脅威が急速に高まっていることを受けて、米軍はグアムに、陸海空の複数の兵器により構成される新しい防衛体制を築くことになった。迎撃ミサイル「SM3(スタンダードミサイル3)」や「THAADミサイル(高高度防衛ミサイル)」などである。

ACEの目的は、グアムのアンダーセン空軍基地や在日米軍基地などの既存の大規模な拠点から、もっと小規模な拠点に活動を分散させて、米軍の軍事拠点が攻撃の標的にされにくくすることだ。同様の軍事戦略は、空軍だけでなく、陸軍、海軍、海兵隊も打ち出している。

中国が台湾への上陸作戦を実行に移した場合に米軍が介入するためには、米軍が空軍力と海軍力を失わないことが極めて重要だ。それに対して中国側は、米軍を自国近くに寄せ付けないための「接近阻止・領域拒否」の戦略を強化している。

「アメリカがアジア太平洋地域への前方展開を強化し、一方的な行動により軍事面で優位に立とうとすることに、中国は強く反対する」と、在米中国大使館の劉鵬宇(リウ・ポンユィ)報道官は本誌の取材に述べている。

「台湾は中国領土の不可分の一部」であり、台湾の状況は中国の「国内問題」だと、劉は主張する。アメリカは「台湾海峡の緊張を高めかねない要素をつくり出すことをやめる」べきだというのだ。

9月半ばには、米中の国防当局が北京で協議を行った。中国側によると、このとき米中は、両国の軍事交流と共通の関心事について突っ込んだ話し合いをしたという。

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