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B29の発進地「原爆の島」が再び動き出す...米軍が太平洋で進める、新たな「対中国戦略ミッション」とは?

ニューズウィーク日本版 / 2024年10月23日 16時16分

米国防当局の高官は、米中の関係に影響を及ぼすアメリカの関心事について率直な対話を行ったと述べている。「熾烈な競争関係ではあるが、その競争を責任のある形で管理し、紛争に発展させないことを真剣に目指している」と、この高官は語る。

中国とロシアはアメリカの安全保障にとって脅威だが、いずれかとの戦争が「避けられないわけでもないし、差し迫っているわけでもない」というのが米国防総省の立場だ。

しかし、戦域司令官たちは、最悪のシナリオに向けた準備を続けている(米軍インド太平洋軍司令部は、本誌の書面による取材依頼に返答していない。北マリアナ諸島知事のコメントも得られていない)。

この7月には、インド太平洋軍のサミュエル・パパロ司令官がテニアンを訪れた。

米軍によると、訪問の目的は、アメリカが「国土防衛に真剣に取り組み続けていること、そして太平洋の共通の歴史を尊重していること」を示すことにあった。このときパパロは、テニアンのノースフィールドの再整備を監督する空軍工兵部隊と面会している。

グアムに代わる出撃拠点に

一部の米空軍機は、再整備がスタートするより前に、既にテニアン北部で飛行活動を行っていた。12年には、海兵隊の輸送機「KC130Jハーキュリーズ」がノースフィールドのベーカー滑走路に着陸した。同滑走路に航空機が着陸したのは、1947年以来初めてだった。

一方、旧ウエストフィールド飛行場のテニアン国際空港では近年、複数回にわたり米軍の軍事演習が行われている。今年に入っても、空軍のステルス戦闘機「F22ラプター」が同空港に着陸している。

米シンクタンク「全米抑止研究所」の客員上級アナリストを務めるジョシュア・シバートによれば、テニアン島を活用することにより、米軍は地域の安全保障上の課題に迅速に対応することが可能になる。この島は、米軍にとって西太平洋における軍事演習、パトロール、作戦行動の拠点にもなる。

「アメリカが潜在的な敵対勢力を抑止し、この地域における国益を守る能力が高まる」と、シバートはグローバル・セキュリティー・レビュー誌で述べている。

具体的には、戦闘爆撃機の出撃拠点として、グアムの基地に代わりテニアンを活用することになるだろう。

18年には既に、2機のステルス爆撃機「B2スピリット」(核兵器と通常兵器の両方を搭載可能)が西太平洋のウェーク島に着陸し、ホットピット給油(エンジンを動かしたまま行う給油)の訓練を行った。

「インフラが十分に整備されていない場所から行う作戦活動は、インド太平洋地域の米軍部隊が高い柔軟性を備えており、敵対勢力を抑止し、同盟国とパートナー国を安心させる力を持っていることを浮き彫りにするものである」と、空軍はこの当時述べていた。

この西太平洋上に浮かぶサンゴ礁の島には、1935年から飛行場が置かれてきた。再び爆撃の拠点になるのか。

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