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どちらが勝っても日本に「逆風」か...トランプvsハリス、日本経済にとって「まだマシ」なのは?

ニューズウィーク日本版 / 2024年11月1日 14時29分

ところが近年、貧富の差が激しくなっていることや、物価上昇に歯止めが利かなくなっていること、さらにはAI(人工知能)など最先端産業に従事する労働者ばかりが高賃金を得ていることなどから、従来の価値観を疑問視する国民が増えてきた。

予測不能なトランプの経済政策で意図せずドル高が進む可能性も IMAGESPACEーSIPA USAーREUTERS

もともと共和党はビジネスに対して親和的な政党だったが、一部の共和党支持者は強烈なアメリカ第一主義(アメリカ・ファースト)に傾いており、外国企業や最先端産業、あるいは移民の流入を敵視するようになっている。

近年、トランプ氏が急速に支持を集めるようになった背景にはこうしたアメリカの内向き思考がある。アメリカ社会は確実に変わり始めており、従来の常識は通用しなくなりつつある。

両候補者の政策とそれが日本に与える影響について考察する場合、一連の変化について頭に入れておく必要があるだろう。では、トランプ、ハリス両氏の政策について具体的に検証してみよう。

関税と移民はブレないトランプ

トランプ氏は、支持者ごとにバラバラの主張を行うことがよくあり、各政策の整合性が取れないケースが多い。このため、実際に大統領に就任した際、どのような政策を繰り出してくるのか予想できない面がある。

だがトランプ氏の発言の中で、関税政策と移民政策の2つについてはほとんどブレがない。

トランプ氏は保護主義を強化する姿勢を鮮明にしており、中国からの輸入に対して関税を60%超にする考えを示している。トランプ氏はかねてから中国を敵視しており、対中関税はトランプ氏が大統領だった時代に実施した政策である。

だが、今回の大統領選では対中関税をさらに強化するだけでなく、日本など友好国に対しても10%の関税をかけると発言するなど、保護主義がより過激になっている。

ハリスの「機会の経済」で短期的には景気は足踏みするかもしれない CHIP SOMODEVILLA/GETTY MAGES

仮に中国からの輸入に対して60%、日本など友好国からの輸入に対して10%の関税を課した場合、アメリカの輸入物価は確実に上昇する。そうなると、せっかく沈静化の兆しが見えてきたアメリカ経済が再びインフレに悩まされることになるかもしれない。

もっとも、中国からの輸入にさらに高関税をかければ、直接的な輸入が減少することは目に見えている。一方で、同国からの輸入については、関税を回避するため第三国を経由したものが増えるだけであり、実態は大きく変わらないとの見方もある。

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