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これで米大統領選と「その後」がさらに理解できる...「アメリカ」をもっと深く知るための本

ニューズウィーク日本版 / 2024年11月5日 18時6分

成熟した民主主義国家における「アイデンティティの分断」をテーマにした一冊。安易に「ラベリング」することの危険性を指摘し、分断された世界が向かう先についても警鐘を鳴らしています。

『グローバル資本主義VSアメリカ人』
 著者:篠原匡
 出版社:日経BP
 要約を読む

大統領選挙のたびに争点となるのが「移民政策」。特にメキシコ国境から流れ込む膨大な数の不法移民は社会問題にもなっており、トランプ政権時代には「国境の壁」が建設されました。(後にバイデン政権が中止)

本書は、日経ビジネス副編集長が「国境の町」に自ら出向き、「アメリカのリアルな姿」に迫った渾身のルポ。そこに暮らす人たちの声を拾い、彼らの暮らしぶりを丹念にまとめ上げています。

大富豪や成功した起業家ばかりが注目されがちですが、それはほんの一面に過ぎません。アメリカという国を知るためには、もう一つの面も知る必要があると思わされる一冊です。

『超一極集中社会アメリカの暴走』
 著者:小林由美
 出版社:新潮社
 要約を読む

「0.1%の超富裕層が世のすべての富を奪っていく社会」。背筋が凍るような言説ですが、それが現在のアメリカだと本書は説きます。

大手IT企業が次々とイノベーションを起こし、巨万の富を蓄えていく一方で、工場閉鎖により失業に追い込まれる人は少なくありません。また昨今は、高額の学費を払うため多額の借金をして大学に入学したものの、その返済が追いつかない若者たちの「学生ローン問題」もクローズアップされています。

本書は2017年の出版ですが、一極集中はさらに広がっているようにも見えます。大統領候補者たちはこの問題をどう解決するつもりなのか。彼らの演説に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。

『大分断』
 著者:タイラー・コーエン
 翻訳:池村千秋
 解説:渡辺靖
 出版社:NTT出版
 要約を読む

「がんばれば誰もが成功と富を手にできる」と信じられていた「アメリカンドリーム」も、いまや空前の灯。ちょっとやそっと努力しても、成功することは難しい──。ならば、「現状に満足して生きよう」という「現状満足階級」の出現を解説したのが、本書『大分断』です。

日本でも若い世代を中心に「ガツガツしないで、今の生活を維持できればいい」という傾向は見られますが、本書では「現状満足階級の平和と平穏は長く続かない」と、厳しい見解を示します。

「活力が失われた社会」はどこへ行きつくのか。著者の予測にひやっとするのは、筆者だけではないはずです。

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