スキージャンプ髙梨沙羅と行くパラオ、気候変動危機の最前線に迫る【大統領インタビューも実現】
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月11日 11時30分
コシバさんの話を聞き、「サンゴだけではなく、マングローブや、そこに生息する魚も含めて全部が生態系として大切で、何か一つ欠けてもダメなんですね」と髙梨さん。沿岸生態系の重要さと、パラオの人々がそこから受けている恩恵に、想いを巡らせているようでした。
コシバさんから説明を受けながら、国際サンゴ礁センターを見学
(左)水族館としても楽しめる国際珊瑚礁センター(右)白化したサンゴ。この状態が長く続くと死んでしまう
カヤックツアーでマングローブエコシステムを肌に感じる
マングローブエコシステムの重要性を身をもって知るため、髙梨さんはカヤックでマングローブ林を巡るエコツアーに参加しました。このエコツアーは、バベルダオブ島東部のニワール州にJICAが協力して開発を進めているもの。マングローブエコシステムの保全のため、JICAはマングローブ林のモニタリング体制の構築とその重要性を啓発する教育活動に協力しており、エコツアーもその一環で行われています。
「エコツアーのガイドとモニタリング活動は、地域のレンジャーたちが担っています。州の人口は200人ほどですが、これまで20人近くがエコツアーガイドになるための講習を受けており、今後もその数を増やしていきたいと思っています」そう話すのは、JICA専門家の板垣佳那子さんです。
「レンジャーはどのような調査を行なっているんですか?」という髙梨さんの質問に対し、「保護区内のマングローブの状態を把握し、健全な生態系を維持・管理していくために、マングローブの樹種や倒木の調査、幹の太さの測定などを行なっています」と板垣さん。
「マングローブは、熱帯雨林の3倍以上炭素を貯留することができると言われていて、気候変動対策としても非常に重要な生態系なんです。国際サンゴ礁センターとも連携して、エコツアーで子どもたちにマングローブエコシステムの面白さと重要さを伝える活動もしています」
(左)「マングローブ林にいるだけで癒されますね」と髙梨さん。板垣さんと一緒に初めてのカヤックに挑戦した(右)レンジャーの調査の様子。若いレンジャーも増えており、自分たちの土地や自然、マングローブについて学ぶことで、愛着を持って「守りたい」という意識が育まれているという
大統領へのインタビューが実現! パラオの脱炭素の取り組みとは?
これまで、気候変動の影響に適応するための取り組みをたどってきた髙梨さん。気候変動自体を緩和するための「脱炭素」の取り組みについても話を聞くため、スランゲル・S・ウィップス・ジュニア・パラオ大統領へのインタビューが実現しました。ここではそのインタビューの一部をご紹介します。
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