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トランプを勝たせたアメリカは馬鹿でも人種差別主義でもない

ニューズウィーク日本版 / 2024年11月27日 18時41分

ラジオでは、民主党の活動家が大統領選後に、ハリスの集会がいかにスター勢ぞろいのコンサートだらけだったかと嘆いているのを聞いた(そして、暮らし向きの良くない人には高すぎる入場料だった、と)。ぎょっとするほど一般人の感覚とはかけ離れていると、その活動家は言っていた。

繰り返しになるが、左派政党が自分たちの「エース」を有名人による推薦だと思っているのは、よくありがちな欠点に思える。ほら、デ・ニーロはトランプを嫌ってるだろう! ケイティ・ペリーとレディー・ガガはハリスを望んでいる! 

イギリスでは、全ての俳優が労働党の誇り高き支持者であるかのように見える。僕の地元では、彼らを「左派ラブな人々」と呼んで、そのうちの某俳優(大抵、僕たちの誰も見ていないようなヒット作1作だけで有名になったような人物だ)が、人々に政治を講義する資格ありとみなされ、独自の考えを広めるための舞台を与えられていることには驚くばかりだ。

「なんてこった! 億万長者のこのポップスターは、僕と意見が違うじゃないか。僕が考えを改めなきゃ」などと言う人はここイギリスにはあまりいないし、アメリカでもいないだろうと思う。

ところで、真に英国を象徴する俳優であるマイケル・ケインは、この点で例外的な人物であり、彼は根っからの社会主義者ではないからきっと芸能界イベントの場では孤立しているに違いない、と僕たちはよく冗談を言っている。

ひょっとすると何が違うかと言えば、ケインが労働者階級の出身というところかもしれない。金持ちの家に生まれてロンドンきっての高級住宅地ハムステッドで相続財産で生活しながら芸能の道を歩んでいる俳優たちとは異なるということだ。

人種差別は致命傷になるはずだが

おそらく、トランプにとって最も大きな逆風になったのは、刑事告発を受けた数々の出来事ではなく(なぜなら多くのアメリカ人がトランプ関連の刑事告発は政治的動機に基づいたものだと考えているから)、彼が人種差別主義者だという非難だろう。人種差別主義者だと思われたら、選挙に勝つのは実に難しくなる。だからこそ多くの国の左派は、敵対する相手を「隠れ人種差別主義者」に仕立て上げようと躍起になるのだ。

西側のあらゆる主要民主主義国家では、統計的な情勢は明らかだ。全ての「有色人種」と、人種差別を許さないと考えている圧倒的な割合の白人を合計すれば、大量の有権者数になるので、人種差別主義者とみなされた候補者が勝てる余地はなくなる。

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