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ホームレスは助け合うのか、それとも冷淡で孤独なのか...不思議な「兄弟分」の物語

ニューズウィーク日本版 / 2024年11月27日 18時45分

「いつもお金を持って出て行き、手ぶらで帰ってくる。結局、あなたはなんのために朝早くから夜まで一所懸命に働いているのか。私には理解できない」

「この趣味だけはやめられない。今日は負けたけど、明日また仕事を頑張って稼げばいいんだよ」。斉藤さんの答えは相変わらずの調子だ。

「あなたの自転車はもう修理して、チェーンにも油をさしておいたよ」。桂さんは話題を変えた。

「ありがとう!」

斉藤さんはそう言いながらポケットから千円札を取り出し、桂さんに渡した。桂さんは何も言わずに金を受け取った。

2人のやり取りを見て、私は首をかしげた。あなたたちは兄弟分ではないのか。どうして自転車の修理代を受け取るのか。読者の皆さんも同じ疑問を持つに違いない。

私が斉藤さんだったら、チップも渡しただろう

斉藤さんが去った後、桂さんが説明してくれた。

昨日、斉藤さんは自転車で缶を売りに行って、帰る途中にタイヤがパンクした。すぐに自転車を押して自転車店に修理に行ったが、店員に修理費の見積もりは5000円だと言われたという。

斉藤さんは高いと思って、修理しないことにしたという話を桂さんにしたそうだ。そしてパンクの状態を見て、桂さんが斉藤さんに言った。

「店で修理したら5000円でしょう。私に1000円払えば、自転車を修理してあげるよ」

斉藤さんは快諾し、その結果が先ほど見た場面だった。

桂さんが金を受け取った理由は十分にあると言えるだろう。

まず、修理代は双方が事前に約束したものなので、履行されなければならない。次に、桂さんは斉藤さんが4000円を節約する手助けをし、そのために労働と時間を差し出した。しかも斉藤さんに自分の自転車を無償で貸してあげた。

私が斉藤さんだったら、きっと1000円にチップを加えただろう。

桂さんの指導のもと、斉藤さんも釣りを覚えた

ただ信頼できる友人が隣にいることの素晴らしさ

振り返れば、桂さんが斉藤さんにした最大の手助けは、3年前に彼をこのラッキーな場所に連れて来て、彼のために新しい家を建ててあげたことだ。斉藤さんはここを「天国」と呼ぶほどである。

桂さんは家を建ててあげただけでなく、川で魚を釣る方法やエビを捕まえる方法、冬の寒さや夏の暑さをどのように乗り越えるかなど、野外生活のテクニックを斉藤さんにたくさん教えた。

桂さんは斉藤さんのためにいろいろな手伝けをしているようだが、一方で、斉藤さんが桂さんのために何かしているようには見えなかった。これは桂さんが有能すぎて、人を助けるのが好きな性分だから、としか言いようがないだろう。

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