サイバー警察局・サイバー特別捜査部の発足から2年半、サイバー特別捜査部による捜査の実態とは?
ニューズウィーク日本版 / 2024年12月12日 17時17分
──現在、国外からのサイバー攻撃に対して日本も積極的に自衛措置を取っていくことになるアクティブ・サイバー・ディフェンス(能動的サイバー防衛=ACD)がなければサイバー攻撃対策がままならないとして、導入が待ったなしになっている。警察もそれを担うことになると思うが、そうなると人材も課題だ。
警察の中でサイバーセキュリティやサイバー捜査に詳しいプロの人材を育成して少しずつ増やしていくというのは私たち警察で行うことができます。ですが、アクティブ・サイバー・ディフェンスにおいてサイバー攻撃の元となるサーバにアクセスしたり、これを無害化したりするといった活動も警察が担うことになることも考えると、我々警察は人材の育成や確保に腰を据えて取り組む必要があると考えています。
今議論されているアクティブ・サイバー・ディフェンスは、これまでのサイバー空間における犯罪捜査などの一般治安を担っていた警察の営みの範囲を超えて、いわば予防的・専制的にサイバー攻撃対策を講じるというものです。国家安全保障の文脈で語られる活動ですから、これまでの警察の「一般治安」の営みと「国家安全保障」上必要な活動が折り重なることを意味すると言えるでしょう。これまでになかったことです。
アクティブ・サイバー・ディフェンスというのは、先ほども申し上げましたが、国家安全保障の文脈で語られますが、サイバー空間上の犯罪捜査などの警察の営みと求められる能力が重なる部分もあります。
そもそもサイバー特別捜査部における犯罪捜査のために民間人材を任期付きで登用し始めているのは、サイバーセキュリティ人材を既存の警察職員の限りで育成し、賄っていくことに限界があるという問題意識によるものでした。したがって、これに加えて、アクティブ・サイバー・ディフェンスを警察が担うこととなれば、一層サイバーセキュリティ事業者など民間人材にも裾野を広げることを視野に入れて、人材育成・確保のあり方を考えなければなりません。
今後、警察の活動に関与する民間人材が増える可能性を考えると、重要情報に触れる人たちに求められるセキュリティ・クリアランス(適格性評価)を適応させるといった議論も出てくるでしょう。そうなると、例えば、民間人材の登用は、しっかりとした日本企業からの登用が国家安全保障的に安心だという認識になっていくでしょうから、そうした日本企業にもビジネスチャンスのみならず日本の国家安全保障に協力することができるという点でもメリットやインセンティブがあるものと考えられます。使い古された言葉かもしれませんが、シンプルに言うと、「日本のサイバーセキュリティーは官民の協働なくしてあり得ない」ということです。
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